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踊る謀略と異世界監禁 3
「何でもできる光琉の唯一、苦手な所が、恋愛沙汰だよな。
どんなに恋愛シナリオが下手クソでも、最新鋭の機能で、バック・アップしてやるから十八禁シナリオを作ろうぜ」
大介の様子に悪意を感じる。
光琉は呻いた。
「俺に、何をさせる気だ?」
「別に。光琉にはこのまま、ルイ・スペンサーとしてシナリオの通りWOWで動いてもらうだけだ。
ただし、今、お前が飲んだ水のパックに催淫剤を混ぜた。
どんなに意思が強いヤツでもエロいことしか考えられなくなる、強力なやつだ」
「なんだと!?」
「WOWの世界を完全崩壊はさせない。チーフ・プロデューサーの支倉や、他の何人かとも、話し合い済みだ。
ゲーム世界時間で昼間のうちは、催淫剤の影響と、現実世界の『佐藤光琉』の記憶を思考制御で封じ込めてやる。
だから、心起きなくルイ・スペンサーの身体を使い、正規のシナリオの進行をたどれ」
ただし、今からルイの身体に入れば、片目が潰れるという、痛みを伴うシナリオを自分自身で味わうことになると大介は、嘲笑 う。
「ゲーム時間の夜は思考制御を解いてやるから、今度は催淫剤に蝕まれた『佐藤光琉』としてWOW世界で欲望に狂え。
幸いルイ・スペンサーの身体は絶倫な上、見た目も良い男だからな。
どんな女もよりどりみどりだ。
もしかしたら、男だって堕ちるかもしれないぜ?
お前がルイ・スペンサーとして豪快に遊んでくれれば、それが十八禁用シナリオのエロ、データになる」
「ふざけるな! そんな莫迦な事を俺は、認めないぞ!」
叫びベッドから飛び起きようとした光琉の身体は、いつの間にかベッドに固定され、身動きが取れない。
何とか戒めから抜けだそうと身をよじる光琉の胸に、大介の手が置かれる。
特殊スーツで、乳首の形もはっきりとわかるそこは、催淫剤が順調に効いて、触覚も鋭敏になっていた。
「……っ、く、あ」
催淫剤の効果もあったのだろうか。
快楽が電撃のように光琉の背筋に伝い、一気に理性が霞む。
そんな光琉を見て大介は、楽しそうにクニクニと光琉の胸を弄ぶ。
すると、胸の飾りを摘ままれる度に重い快感が蓄積され、光琉はだんだん我慢できなくなっていた。
「う……く……く」
声だけは出すものか、と思っても、腰が勝手に揺れ、光琉の欲望が立ち上がる。
すると、光琉の興奮具合を感知したAIが、本来は排泄の為だけに性器を覆っていたはずのコンドーム状チューブを波打つように怪しく蠢かした。
「あっ、あっ、あああっ」
その刺激にたまらず光琉の腰がはねた。
欲望が重みをもって天を向く。
イキたくて、欲望を吐き出したくてたまらないのに、拘束された手足が動きを阻み、切なさが凶悪な快楽に成り代わる。
我を忘れ、身をくねらす光琉を見て、大介は、嘲笑うような猫撫で声を出した。
「気持ち良さそうな顔が、ヘッドギアのモニター越しに見えるぜ?
男の感じてる顔なんて、無様で見ていられないと思ったが、お前は信じられないほど綺麗だからな。
女みたいにそそる」
「ふざけん……ああああ!」
光琉の言葉を、蠢く機械の振動が、止める。
光琉の珠と竿はまるで、やわやわと舐め上げられるように射精寸前まで弄ばれているのだ。
やるせない欲望に、喘ぎ狂う光琉に大介は言った。
「光琉は良い方なんだぜ?
先にアダルト版に放り込んだエリカちゃんなんて、支倉が性奴隷にするって張り切っていたからな。
前とケツにえげつない器具を突っこまれてたから、もうとっくに隣のベッドで悶え狂ってるんじゃないか?」
あれじゃ、現実に戻っても、普通の生活ができなくなったりしてな、と笑う大介に光琉はようやく声を出した。
「なん……で……こんな……莫迦な……事を……っ!」
「ん? 支倉は、エリカちゃんに振られて、相当腹を立ててたし、なにしろ光琉の一番のオトモダチだからな」
「関係ない高遠を……巻き込むな……!」
「こんな絶対絶命の場面で他人の心配かよ。
なんで、自分がこんな目に遭ってるか、興味ないのか?
全部、お前のせいなのに」
「もしかして、この外部攻撃は、私をルイでWOWに潜入させるためか!?」
光琉の声に、大介は「そうだよ」と、ヒステリックに笑う。
「WOWは、ほとんどラノベ小説のテンプレに近いじゃないか。
なのになんで、こんなにちやほやされるんだ?
最近話題になった珍しい、何事も完璧なα性が書いた作品をゲーム化したからか?」
自分の書いたシナリオ方が、光琉のよりもっと上手いはずなのに。
社内コンテストで競った結果、β性の大介の作品は落とされ、α性の光琉の書いたシナリオが採用されたのが、気に入らなかったらしい。
「たかが、ゲームのシナリオ。高尚な文学には、ほど遠い。
美人なエルフを出せば、ヤローは満足だし、イケメン男が、適当に甘い言葉をつぶやいておけば、女は釣れる。
あとは、作者の話題性って所か?
イケメンの上、α性なんて恵まれてて、いいな」
「ゲームシナリオを莫迦にするな!」
激高する光琉に、大介は静かに呟いた。
「俺はお前が大嫌いだ。
せいぜい自分の書いたWOWのシナリオの中で、自分の無様な性癖を世間に晒して笑いものになるがいい。
終了条件はルイが死ぬまでだ。
予定より早く死んで帰ればシナリオは崩壊するし、予定の場所で死なずにずっと生き残れば、欲望に堕ちたと笑ってやる。
異世界に凌辱付きで監禁されたと思って、楽しむんだな」
「ふざけるな! 莫迦な事はやめろ!」
叫んで暴れる光琉を無視し、大介は、ベッドに接続されたPCを起動する。
それにより、ヘッドギアを装着し、無理矢理拘束された光琉の目の前には、幾つもの管理用画面が重なるように現れた。
いつもなら、自分で操作する行程に全く手が出せないまま。
光琉が最後に見たのは『思考制御開始』という赤い文字だった。
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