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そこは傷ついたゆめの中(第4話)
(……あれ?)
日和がいた場所は教室だった。個性豊かな『道』という字が壁に沢山飾られており、机も黒板もある。
視線も低くなった。顔を少し下ろせば胸に三年一組の名札が。
「………っ!!」
さらに下を向けば血の気が引く。足元に水溜まりが広がっている。ズボンも濡れていた。
くすくすと笑い声が聞こえ、顔を上げると五人の女子がいた。背筋が凍りつき、冷たい汗が額から流れ落ちる。
クラスメイトは全員ロッカーに寄っていた。そんな中で悠治と目が合うが、彼も傍観者の中へ入っていく。
僕と彼女らの間には箒が一本横に倒されていた。
(これ、知ってる。経験した)
心臓の音が処刑までのカウントダウンに聞こえて来る。
「……カシキン君、こっち来ないでね?」
「君が入ってくるとみんな汚染されるから」
笑ってる。笑ってる。向けられた視線は差別の目。軽蔑の目。
足が鉛のように重くなり、首が詰まったように息苦しい。
(嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ)
この感覚は嫌だ。不快だ。
自分が自分で無くなっていくような、そんな感覚。
(助けて……)
言葉は音にすらならなかった。
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