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躾られたい(第13話)
シャンプーボトルを背にスマホを置くと、サキさんが桜色の唇を開いた。
「日和さん、お座り 」
命令されると足が小刻みに揺れ、まだ湿ったままの浴室内マットの上に太い足を折りたたんで、ぺちゃんと座り込んでしまう。
関係性によって多少異なるが、Domの基本姿勢はお座りである。しかもSubと同じ位置に座ってはいけない。もし、ここに彼がいたら目線下に座らなければならないのである。
サキさんはベッドに浅く座る。あちらもスマホを置き、無駄毛処理を施されたつるつるの足を組み、僕の様子を見守る。表情はにこやかだ。
先日のプレイは例外中の例外だろう。
(ダメだ……。お座りを命令されただけで背筋がぞくぞくする……)
まだ本格的な命令も下されてないのに鳥肌が立ってしまい、羞恥に晒されてしまう。
「うん、良い子。今日はセーフワードどうする? この間みたいに『おにぎり』にする?」
先週は「食べ物なら忘れにくいでしょ」と提案されたが、最中に食べ物の名前を口にするのは品がないと後悔した。
(何か良いの、良いの……あっ)
「『イキたくない』ってのはどうですか?」
「ほう。どうして?」
「『イク』だとイきたい時に中断されては困りますし、『イキたくない』は本心の時しか言わないかと思い……ました」
口にして説明するとこんなにも恥ずかしいのか。そもそも『イク』という言葉すら最近まであまりよく分かっていなかった。
「んじゃ、それに決定ね。『イキたくない』が今回のセーフワード」
繰り返して暗唱するサキさんに悪戯心はない。僕の安全を第一に考え、覚えさせようとしていた。
(画面越しでオナニーの手伝いをして貰えるなんて思わなかったよ)
彼の言う「お手伝い」とはオナニーの手伝いのことを指していた。
『自慰は心身の健康に大切だからね。日和にとっても自分の好むプレイや欲求を見つけるいいきっかけになるんじゃないかな』
まだDomのパートナーがいない僕を見兼ねてか、日常の話が済んだ後に指示や言葉を囁いてくれるようになった。僕はこの時間が一番好きで恥ずかしい。
「今回は乳首を可愛がってあげようね」
「ちく……び?」
「そ、乳首。わ〜、日和さんの陥没乳首なんだね〜」
細くなった目が見開き、僕の胸元に集中されてるのが分かった。急いでそこを隠すも、「コンプレックス?」と図星をつかれる。
「ふ、普通じゃない……ので」
「確かにね。でも、私は可愛くて大好きだよ。恥ずかしがり屋の日和さんみたいで愛でたくなる」
顔の中心に熱が溜まったのが分かる。体型の次に他人にせせら笑われる陥没乳首を、人生で初めて可愛いと評価されたのだから。
(サキさんは耳にタコができるくらい僕を可愛いと褒めてくれる。可愛いの範囲って広いんだろうな)
「それに……私、陥没乳首を良くする方法知ってるよ」
「ほ、本当ですか!?」
小学生の頃は気にしない方だったが、中学生になって自分の乳首が他人とは違うことに気付いた。何度腹痛でプール授業を休んだことか。店長達に誘われても銭湯や温泉には行けないため、少しでも良くなるのなら試したい。
「僕、何をやってもダメで……」
「そうなの?」
「はい! 解決策する日をずっと待ちわびていました。サキさん、ありがとうございます!」
優しいだけでなく知識もあるだなんて、尊敬する。
「……ふふ。そっか〜、なら気張らないとね」
「よろしくお願いします!」
「じゃあ、まず最初にお湯を胸元にかけてもらっていい?」
残り湯を桶で掬い、指定された場所にかけた。入浴後から時間は経つがほんのり温かい。
「じゃあ、ボディソープを人差し指につけて」
手の平に溜めたソープを両指につける。
「そのまま、陥没したところにちゅぽんと突っ込んで?」
「……へっ?」
今なんと? 困惑しながらサキさんを見るが、画面の先にいるサキさんは僕をじっと見つめ返している。桃色が濃く光り、ドクンと胸を打つ。
(あ……やらなきゃ……)
人差し指からボディソープが床にぽとぽとと垂れていく。このままではもったない。
恐る恐る入口に近付け、勢いよく中へ突っ込む。
ちゅぽん。
卑猥な音を立て、案外すんなりと入った指。中はじっとりと汗をかいていて柔らかい。爪が乳頭を引っ掻いた。
「ふあっ……!!」
背筋に電流が走り、びりびりする。ソープ自体も冷たくてトロトロして変な感覚になる。
「ほぅ。初めてでそんな反応するとは……やっぱり素質あるね。可愛いよ」
(素質……? そっか、今はサキさんに見られてるんだ……!!)
入れた瞬間に膝で立ち、胸を見せつける格好になってしまった。穴があったら入りたい。気付かれないように引き抜こうとしていると、
「乳首、良くしたいんでしょう?」
そうだ。これからのことを考えたらこんな羞恥も可愛いものだ。
「は、はい……っ」
「じゃあ、次はゆっくりぐるぐる回していって……」
「ふっ、つめ……たい…っ」
「中の乳頭をトントンって突いて」
「ひゃっ、あっぅ……!」
「爪先でペシペシ弾くように……」
「……ひぐっ!! あっ、あッ」
自分の喘ぎ声が反響して耳に戻る。その度にこんな甘い甲高い声を出していたのかと無理矢理自覚させられ、泣きそうになってしまう。
中の指は生温くもぬるぬるし、緊張のせいか上手く動かせない。
(サキさんに教えて貰っているんだ。あれ? お手伝いって乳首を良くすることで、今やってるのは陥没乳首を治すことで……)
「そうそう、上手上手。良い子だね」
不慣れな動きにもきちんと褒めてくれる。
(サキさん、なんでそんなに優しくしてくれるの?)
「ちゅぽちゅぽ、くりゅくりゅ。ちょっと激しいキスだと思えばいいんじゃないかな」
甘美な声に聴覚を刺激され、卑猥な擬音通りに動かすとサキさんのリップ音が届く。
脳では金髪で美人のDomに組み敷かれ、息も吸えないくらいめちゃくちゃなキスをされる映像が流れる。経験もないのにとても鮮明に映り、噎せ返るほど甘い花の匂いまでした。
「キスいっぱい、蕩けちゃ……あぁっ、ああ♡♡!!」
徐々に喘ぎ声に悦びの色が滲みだす。
「サキさん、サキさんっ。僕を見て……」
「はぁい、見てるよ。最高に良い感じ。一気に抜いてみて?」
(抜く……。一気に抜く……!!)
左右に動かしていた指を止め、息を吐く。静まり返った浴室の中で心臓の音が煩く鳴る。
(一、二の……)
最初はすんなりと通してくれた入口が塞がれ、上手く引き抜けない。強い吸盤に張り付いたような感じだ。
「もう一回。頑張れ頑張れ」
「は、は……ひ、あっ……」
きゅぽん。飛び出たぷっくり乳首が外気に触れる。眼前でぱちぱちと火花が散り、
「ふっ、ふぉ……♡♡!!」
「腰で跳ねちゃうくらい気持ち良いんだね。素直で可愛いよ」
(また可愛いって言われた)
胸を突き出したまま息を整える。落ちた雫が頬に流れ落ち、意識が戻るまで少しかかった。顔を画面に戻すと、彼は笑みを抑えきれず瞳を下へとずらす。
「この間思ったけど、やっぱり日和さんのおちんちん可愛いね」
視線を追えば、樽のような太腿からちょこんと顔を出した短小の男性器。おまけに皮を被っていおり、
「頑張ったから、一回出してあげようね〜」
右手を添えたらクリームパンで隠れてしまう。亀頭が穴から少し見えるだけだ。
「しこしこ、しこしこ」
声に合わせ、上下に動かしていくが、
「ぬるぬるして掴みづらい?」
「すみま、せ……ん」
動かそうとすればにゅるんにゅるんと手の中で暴れる。そのせいか無理矢理扱けば、手だけすり抜けてしまう。
「大丈夫、焦らない焦らない。私もちゃんと手伝ってあげるから心配しないで」
サキさんは横座りへと体勢を整えると、人魚姫が現れた。ひらひらフリルのついたピンク色のミニスカートが童話のお姫感をさらに演出させる。
胸よりも下の辺りで左手を左右に動かしていた。
「良い子、良い子。一週間も溜めていたんだもんね。大丈夫だよ、たっくさん射精しても良いよ」
彼は決して樫 日和本人に許可しているわけではないんだろう。目線も笑みも僕の──引っ込み思案なアソコに夢中だ。
(命令なのに、命令ぽくない)
サイズはまだ小さいが、硬さの確認は手の平に触れただけで十分だった。
にゅち、にゅち、にゅち。
「そうそう、良い子だね〜。もう少しだから、集中して? たーくさん、気持ち良くなろうね」
褒める時より囁いて指示をする時の方が、声に甘みととろみが増す。卑猥なオノマトペにサキさんのお手伝い。通話する前に比べ、達するまでに時間がかからなくなっていく。
(躾られて、気持ち良くなっちゃう……!)
「おぅ……♡おっ……んっ!!」
「イッていいよ」
「は、ぅ……っ♡♡ぁ……あ〜……うっ!!」
ビュルル! 一週間も溜め込んだ熱が放たれ、僕は背中からマットの上に寝そべってしまう。オナ禁が今まで辛くなかったのは、他の欲望が代わりに満たしていたか、性欲以前に自分の存在を認めてくれるDomを諦めていたからだろう。
(サキさんと通話する日は我慢した分、たくさんイッてもいいルール。回数を重ねる度、快楽に負けちゃうよ)
肩呼吸が止まらない。丸めた手を広げるとゼラチンぽい白濁の液体。粘り気があり、胸に落ちる。
(変態……?)
「うん。日和さん、よく頑張ったね」
「あ……りがとう、ござ……いまひゅ」
なんとかサキさんの姿が視認出来るまで起き上がり、シャワーの蛇口を捻ろうとすると、
「まだ手は洗わないでね。今回はそれを潤滑剤にするから」
「潤滑剤?」
機械の動きを良くするあれだろうか。円滑に進める時の人や物という意味もある。そもそもどこに使用するのか。たった一度の射精で熱に浮かされた目は、彼が微笑むのを捉えた。
「お尻に使うの」
(今、なんて。お、お尻……?)
「そう、お尻。アナルって説明した方が分かる?」
「アナルなんて聞いた事ないです……」
「そっか。なら、お尻の穴。そこを弄るとさらに気持ち良くなるんだよ」
通常の状態ならきっと「お尻の穴を弄るのは汚いですよ」と、口に出さずとも躊躇するかもしれない。
今の僕はまだ知らない快楽を求め、サキさんに褒められる気持ち良さを知っている。
「もっと……」
生唾を飲んだ音がはっきり分かる。鼓膜も脳も震える。些細な反応すら見逃さなかったサキさんは頷いた。
「そう。もう、おちんちんだけじゃ足りないくらい……ね。気持ち良いところを沢山知ったら幸せになれるんだよ」
「幸せになれる」
「も、ち、ろ、ん〜。鑑賞する私も幸福になれるの」
反芻する唇が止まる。
サキさんもただ指示を出すだけじゃつまらないはずだ。僕は甘い誘惑に乗った。
「挑戦します」
「じゃあ、ソープを多めに足して……そう。それで、四つん這いになりながら私にお尻を見せて?」
少し泡立つ両手をマットへつき、四つん這いになる。右手はもうにゅるにゅるで、力を込めなければすぐに転ける。
「見え……ますか?」
彼の方にお尻を向けるだなんて破廉恥だと自分で思う。
しかし、「初心者の日和が持つ不安を取り除けたらいいな」と最もらしい理屈をつけられ、戸惑った。アンダーケアまで配慮が行き届いていないし、お腹の次に肉の付きやすい部分だ。
「早く」
急かす言葉に背筋がぞわりぞわり。意を決して己の汚いデカ尻を彼に向ける。屁を出さないように腹に力を入れた。
「うん。よく見えるよ、ぷりもたっとした大きな尻だね。可愛い」
サキさんは声の調子を下げるどころか、チョコのように甘くゆったりとした声色になった。
「あ……ありがとうございます……」
他人にお尻なんか褒めて貰ったことがない。高校の時、しゃがむなり制服のスラックスが破けたこともあれば、今でも机の角に当たってしまったり、一年前に購入したズボンが引っかかる大尻。
「サキさんに褒めて貰えると、自分の嫌いな部位も好きになれそうです」
「う、本心で言っちゃうんだもんなあ……」
「どうかしましたか?」
「……いや何も。それじゃあ、ぬるぬるとろとろの手でお尻の縁をなぞってみて?」
僕が右手を動かそうとすれば「一本だけでいいよ」とアドバイスされ、人差し指をお尻の谷間に埋めた。とろりとした冷たい感触にビクッとしたが、それでも言われた通りになぞる。
(あっ……ここがアナルか……)
何度も行き来する間に、ふにふにのところがあった。排泄口なのに直に触れたことはない。
「そうそう、上手上手。良い子だね。もう一回ソープを足して……次は第一関節だけをゆっくり挿入するの」
「はいっ! う、いっ…!!」
押し込めば割いたような痛みが走る。
「こらこら、ゆっくり。最初は馴染むようにちょっとずつね」
痛いのは嫌だけど、丁寧に指示されたらもうやるしかなかった。
「う……っ、ぁ……」
本の少しだけ入った。関節ともいえない先っぽが少しだけ。
「調子はどうかな?」
「熱くて柔らかいのかな……? い、異物感があ……パンパンで、僕、あの……」
「便が出そう?」
(なんで……なんで……!? 僕、まだ何も言ってないのに……!)
的を得た返しに、心臓の音が煩くなっていく。音はお腹にも響き、どんどん下に行き──、
ずぷん。
「うっ、あ…っ! あっ!!」
第一関節まで挿入った。もともとの指が太いせいか、内側からの圧迫感がさらに強くなる。アナルを弄ることはこんなにも大変なのかと涙が出そうだ。
「日和さんは本当に頑張り屋さんだね。辛いのによく入れられたね」
「……ぁっ♡♡!!」
「頑張る日和さん、だーいすきだよ」
(そんな、そんな褒め方をされたら……)
「つ、次は……どうし、たらいい……ですか? サキさん……っ!」
「……なら、指腹で押し広げるイメージで解して?」
微弱な動きでくにくに弄ると、ぐちゅぐちゅした音が静かな浴室内に響く。オナニーする時と変わらない泡立つ音。開発しなかった場所を自分の手で行っている。
「そう……そう。そうだよ、良い子ね」
恥ずかしい。恥ずかしいのに、サキさんにもっと褒めて貰いたい。
(いっぱい褒めてくれるサキさんにも幸せを届けられるなら)
「はぁ……っ、はっ、はぁ……」
続けていたら、指と肛門の間に隙間が出来る。
(指をもっと入れるのかな?)
もう指を進めてもいいと指示されるはずだ。先手を取り、さらに押し進めようとした時だった。
ピンポーン。
──ずぼっ。
「はうっ……!?」
第一関節よりも太くなった部分がナカに入ってきた。じんわりとした熱帯で、壁はデリケートな柔らかさ。本の少しでも暴れれば傷が残るのだと確信した。
ピンポーン、ピンポーン。
「で、出ま……っ」
「そのまま、出し入れしてみて? ずっと抜いていたり、ずっと入れっぱなしじゃダメだからね」
「……っ!?」
驚きだけで声が出なかった訳ではない。指を挿入したことの圧迫感、ゆっくり抜かなくてはいけない緊張さ諸々が混ざっていたからだ。
「どうしたの。出来ないの?」
「あっ………」
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン。
(サキさんにはチャイムの音が聞こえない?)
この浴室を出た右は玄関だ。スマホ越しだから音を通しにくいのかもしれない。
(出なきゃ。出ないと変に思われる。多分、あれは……悠治君だ)
出ないとチャイムを連続で押すのは意地悪な行為ではなく、良心でやっている。いつからだったか。
(夜遅くに訪ねてきたことないのに……)
「で……、サキさ……」
ずぷっ。
「うおっ、ひ……!?」
尻に力を入れるとさらに指が進んでしまった。予期せぬ出来事に涙目になりつつ、プレイを一時中止して貰うよう乞わなければ。
二人で決めたセーフワードが頭の中に過ぎる。食べ物ではない。僕が自分の身を守るために使う言葉。
「い……、イき、た……」
「まだイッちゃだーめ。ほら、お尻をフリフリして、抜き出しして、アナルを開いてみせて?」
伝わらない。それどころか言葉も上手く発することが出来ない。ナカにある異物感に実感を持ち、苦しさが先に出てきてしまう。
ピンポーン、ピンポーン……ドンドン、ドンドン!
「日和さん、自分では分からないかもしれないけど、雄っぱいからは白いとろとろの液体がぽとぽと落ちてきて、おちんちんからは精液の残りがタラタラと零れているんだよ?」
(そん、な……ぁ……!!)
お尻ばかりに気を取られていたが、確かにさっき弄ったところから漏れてる感じは絶えずあった。吹き出す汗かと思っていたが、変態過ぎる。
「新しく開発されるお尻にぷっくり乳首もちょこっとペニスも羨ましがっているのかな。もっと弄ってあげないとダメだよ。二つの部位も日和さんが弄んだところなんだからね」
何より、いつも僕の気持ちを汲み取るサキさんが、意地悪ばかり言うのが信じられなかった。
(言わなきゃ、言わなきゃいけないのに……!!)
尻を突き出すように胸で全身を支え、やっと顔を出した乳首と短小ペニスをもう片方の手で触れる。
「どっひも、えっちなお汁を溢れさせているっ♡♡手が足りないよおお♡♡!!」
濡れた箇所を擦っただけで気持ち良い。アナルに入れた指がきゅうきゅう締まる。
ドンドン、ドン、ドン!!ガチャ、ガチャ!!
悠治君に合鍵は渡していない。けれど、家主さんに相談なんてされたら──!
「さ、さきさ……っ」
「──日和さん。私ね、ほら……日和さんを見てすっごく感じてるんだよ」
布が浮き上がる音が背後から聞こえてくる。振り向こうとすれば「日和さんは集中して」と注意されてしまう。
「ほら、もう私のパンパンだぁ」
布が擦れたり、粘着質な音が聞こえてくる。どうなっているのか目に焼き付けたい。けど見ることを許されない。サキささんにとてもいやらしいことをさせて、お預けを食らう自分にやきもきし、腕を使って片耳を押さえた。
「日和さんのナカに挿入れたいな」
ドクンッ。
「このパンパンになったモノを日和さんのナカに挿入れてぐちゅぐちょにしてあげたい。前立腺を乱暴に潰してあげてあなたを乱れさせたい。喘ぐことしか脳がない生き物にしてあげたい」
絶えず耳から入るえっちな欲望。本当にあのサキさんが口にしているのだろうか?
(ナチュラルなピンク色をしたサキさんの唇……。柔らかくて、ふわふわしていて、いい匂いで、優しい言葉を言ってくれるあの人が……)
お尻がキュンと締まり、指を離さない。その様子は咥えてるようで、彼の言葉に返事でもするかのように。
「優しいね、日和さんは。でもそれだと私、やめられないかも。一秒足りとも忘れられないほどたーくさん、私の存在を刻み込んであげて……孕ませちゃうかも」
ドクンッ!
「うっぁ……あ……っ!!」
指がようやく抜けた。アナルが開閉しちゃう。
びゅ、るるるっ……!!
「はっ、はぁ……はっ……♡♡!! あ……っぁ……!?」
びちょびちょ、しょああああっ……。
勝手に片足まであげてしまい、射精だけでなくおしっこまで披露した僕は汚い生き物なんだろう。
「おし、おしっ……こぉ……!! いきたく、な……い!!」
しょおおお……びちょ、びちょ……。
「見いひんといて……、あかっ。また漏らしてごめんなさ、気持ち良いっ♡」
自分でも何を言ってるのか分からない。ただ、いつにも増して長く続き、最後の一滴が落ちる時には天井からの露なのか判断出来なかった。
「はぁ……っ、はぁ、はあっ………!!」
両手と膝をつき、立ち上がろうとしても腰がくだけてふにゃりと寝転んでしまう。
産まれたての子鹿。そんな状態だった。
「頑張ったね。良い子、良い子」
「はぁ……っ、はぁ……、は……っ♡」
脱力感と疲労感に襲われ、意識がふわふわとしてきて瞼が重くなっていく。腰もひどく重い。
「特に最後は初体験なのによくやったよ。私好みだった。これじゃあ、お手伝いと言うより躾に近いね」
(躾……。躾られたい。もっと、もっとサキさん好みに躾られたら……)
脱力感と幸福感、疲労が体力のない体に広がる。舌が、へっ、へっ、と出た。犬の方がまだ愛らしい。
アンモニア臭とイカくさい臭いが鼻に纏わりつく。
「……は……、たい……ね」
(なん、て……言ったんだろ……。も、気持ち良いいからいいや)
僕は耐えきれず目蓋を閉じた。
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