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第10話
幸せ、というものを天佑は生まれて初めて味わっていた。
顔も覚えていない父母。
孤児院での暗い暮らし。
そのような辛い過去が、この二年の間にすっかり洗い流された。
思えば、ここに来てすぐの頃は、そういったどろりと濁った感情のはけ口として強さを求めていたような気がする。
今は、違う。
ただ、純粋に強くなりたい。
厳しくも優しい師父の教えを吸収し、立派な人間になりたい。
明るく優しい浩宇を守ってやれるような、たくましい人間になりたい。
こうして、二年の月日が流れた。
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