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第11話
「天佑よ、おぬしがここへ来て今日で三年目になる。いよいよ魔闘士になるための特訓じゃ。覚悟はよいかの」
「はい、師父!」
すでに天佑は強くなっていた。
世間一般では、充分通用するほどの強さを身に着けていた。
しかし、魔闘士としての強さはまた特別なもの。
未知なる強さへの挑戦に、天佑はある種の期待さえ覚えていた。
だがしかし。
「大丈夫、天佑!?」
いつものようにおやつを持ってきた浩宇は、思わず天佑に駆け寄っていた。
ぐったりと地に体を投げ出し、肩で大きく息をしている。
こんな天佑を見るのは初めてだ。
「浩宇よ、いよいよ天佑の真の修業が始まったのじゃ。これからは、もうおやつも持ってこなくともよい」
そして、と師父は浩宇に穏やかな笑みを向けた。
「お前の修業もまた、今日から始まるのじゃ。よいな、浩宇」
「はい」
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