11 / 33

第11話

「天佑よ、おぬしがここへ来て今日で三年目になる。いよいよ魔闘士になるための特訓じゃ。覚悟はよいかの」 「はい、師父!」  すでに天佑は強くなっていた。  世間一般では、充分通用するほどの強さを身に着けていた。  しかし、魔闘士としての強さはまた特別なもの。  未知なる強さへの挑戦に、天佑はある種の期待さえ覚えていた。  だがしかし。 「大丈夫、天佑!?」  いつものようにおやつを持ってきた浩宇は、思わず天佑に駆け寄っていた。  ぐったりと地に体を投げ出し、肩で大きく息をしている。  こんな天佑を見るのは初めてだ。 「浩宇よ、いよいよ天佑の真の修業が始まったのじゃ。これからは、もうおやつも持ってこなくともよい」  そして、と師父は浩宇に穏やかな笑みを向けた。 「お前の修業もまた、今日から始まるのじゃ。よいな、浩宇」 「はい」

ともだちにシェアしよう!