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第21話

 沈みがちな気持ちを振り払うように、浩宇はおどけた声を上げた。 「さぁ、天佑。次は大臀筋だよ。おシリを出して」 「……」  これだけはいつになっても恥ずかしい天佑だが、致し方ない。  腰から尻、足にかけての筋肉は、きわめて重要だ。  破壊力のある拳は、強靭な足腰から生まれるものなのだから。  ぷりん、と出したおシリに、針を打ってゆく。  浩宇も恥ずかしくないわけではないが、もう慣れてしまった。  ゆくゆくは、この道で食べて行けるように、と師父が教えてくれた特技なのだ。  心はすでに、医療従事者に近づいていた。  だけど。  だけど、今夜は……。

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