23 / 33
第23話
師父の言いつけで、毎晩飲んでいた発情抑制の漢方薬。
それを、今夜は飲まなかった、と。
浩宇の発するフェロモンは、天佑を甘く縛りいざなう。
どんどん近づいてくる、浩宇の唇。
天佑は、ぎゅっと眼を閉じ、声を振り絞った。
「浩宇」
「なぁに?」
「こんなことしなくても、俺は浩宇が好きなんだ」
は、と浩宇が息を飲んだ。
みるみる萎れてゆく、大輪の花。
(僕は一体、なんて恥知らずな真似を!)
発情を利用して、天佑を自分のものにしようだなんて。
何て身勝手だったんだ、僕は!
ともだちにシェアしよう!