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第23話

 師父の言いつけで、毎晩飲んでいた発情抑制の漢方薬。  それを、今夜は飲まなかった、と。  浩宇の発するフェロモンは、天佑を甘く縛りいざなう。  どんどん近づいてくる、浩宇の唇。  天佑は、ぎゅっと眼を閉じ、声を振り絞った。 「浩宇」 「なぁに?」 「こんなことしなくても、俺は浩宇が好きなんだ」  は、と浩宇が息を飲んだ。  みるみる萎れてゆく、大輪の花。 (僕は一体、なんて恥知らずな真似を!)  発情を利用して、天佑を自分のものにしようだなんて。  何て身勝手だったんだ、僕は!

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