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第32話
「あああああ!」
「しっかりして、紫釉! これくらいで情けないなぁ!」
施術台の上で悶絶する我が息子を見ながら、天佑もまた冷や汗をかいていた。
「紫釉、ここ痛いだろ。お前は昔っから左の腰が弱いんだから、注意しなさい!」
「あああああ!」
天佑父さん助けて、と言うように、紫釉が涙を浮かべてすがるような眼を向けてくる。
だが、天佑は黙って首を横に振った。
こうなるともう、浩宇は手が付けられないのだ。
しかも、明日は我が身。
紫釉の治療が終われば、次に悲鳴を上げるのは自分なのだ。
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