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第7話 最悪な快感

「よ、よぉ~待たせたな」 青峰の靴を隠した後、玄関で待たせていた猿山を招き入れる。 右肩には、きっと大量の魚が入っているであろうフィッシングボックスを抱え。左手にはビールとつまみが入ったコンビニ袋を持っている。 その状態で三十分。熱い炎天下の中待たされていた猿山の顔は完全にイラついていた。 「いやマジで待ったわ。一体何してたんだよお前」 「え!?あぁ~いやぁアレだ……うんこしてたんだよ」 嘘下手すぎか俺。 というかそんな理由で三十分も待たされたとか、普通に怒るわ。 「あはは!んだよ~ならしょうがねぇな~!あはは!」 「えぇ……」 駄目だコイツ。いい奴過ぎる。 手はすぐ出るくせに、なんで根は意外といい奴なんだよコイツは。 早く何とかしないと、この優しさに付け込まれていつか騙されそうだ。 まぁそうなったら、その騙した奴半殺しにするまで殴りそうだけど。コイツは。 「いやぁ~今日はでけぇのが釣れてな?俺一人じゃ食いきれねぇし。さばいて一緒に食おうと思ってよ!」 「いやそれ、電話でさっき聞いたつうの」 「そうだっけか?」 大物が釣れてご機嫌なのか、自慢げにフィッシングボックスを掲げながら猿山はキッチンを通り過ぎ。居間へと入る。 すると。目の前にあるその異様な物に首を傾げたまま、猿山はこちらを向いてそれを指さした。 「なぁ竜二。あれはなんだ?」 そこにあるのは、ただのテーブルに大きめの布を被せた、まるでこたつ……のようなもの。 その違和感駄々洩れな構造と、明らかに季節外れの家具に、猿山は不審な眼を向けている。 「あ、あれは、だな。そう!俺最近風邪気味でよ?布団から出たら寒いから、テーブルを改造して、こたつ風にしてみたんだ!……ど、どうかな?」 いやいやどうかな?ってなんだよ俺!明らかに無理があるだろこの言い訳は。 猿より頭空っぽな猿山でも、これはさすがに……。 「すげぇな!なるほど、わざわざこたつなんか買わなくてもこうすれば温かいのか!すげぇなお前!」 「……お、おう」 駄目だコイツ。本当に早くなんとかしねぇと。 「(これでひとまずは安心だね。米田君)」 え、何か青峰の声が直接俺の脳に聞こえた気がする。怖い。 「(大丈夫。なるべく動かないようにするから)」 それよりどうやって俺に語りかけて来てるんだコイツは。本当に人間か?クソ怖いわ。 「どうかしたか?」 「え?あ、いや。なんでもない」 そう。今まさに青峰は、あのこたつもどきの中で、デカい身体を一生懸命縮めて隠れている。 少々強引な隠れ方だったが、相手が猿山だったのが幸いだった。きっと他の奴等なら、すぐにバレてただろう。 まぁでも、なるべく早くこの現状を打破しないと。流石のコイツも苦しいだろうし……。 っていやいやいや。元はと言えば、不法侵入したコイツが悪いんだ。別に心配する必要なんてないはず……。 「おーい竜二。魚さばくから手伝ってくれ」 「え、あ、おう」 とりあえず。 猿山が帰るまで、なんとかやり過ごしてくれぇ! 「(了解!)」 * 「いやぁ~意外と美味かったな!」 「だな。また釣れよ」 「釣れたらなぁ~」 空になった皿に箸を置いて、俺と猿山は一気にビールを飲み干す。 新鮮な刺身と、キンキンに冷えたビールは最高の組み合わせだった。 出来ることならまだまだ食べたいし。この下で隠れている青峰にも食わせてやりたかった。いい物しか食べて無さそうなコイツでも、きっとこの旨さには感動するはずだ。 「さてと。んじゃ、ホラー映画でも見ますか」 「なんだ?借りて来てたのか?」 膝に手をつきながら立ち上がった猿山は、自分の鞄からDVDを取り出すと。手慣れた手つきで俺のDVDデッキを操作している。 「あぁ。丁度見たいのがあってな。竜二も好きだろ?ホラー」 「まぁ」 ホラー映画は確かに好きだが、今から見るとなると最低でも約二時間は猿山は帰らない。 流石の青峰も、そろそろ限界なんじゃ。 「ヒッ!」 そう思っていた瞬間。 汗ばんだ大きな手が、俺の足首をいきなりガシッと鷲摑んだ。 「オイ、どうした?」 「あぁいやいやいや!なんでもねぇ!」 あまりの驚きと怖さで、思わず情けない声が出てしまった。 多分今まで見てきた怖いホラー映画やお化け屋敷よりも、怖かったかもしれない。 「お前、何考えてんだ!」 「いやぁ~暇だからさ、今のうちに米田君からご褒美貰っとこうかな~って思って」 お互い猿山には聞こえない程度の小声で喋る。 というかご褒美って……まだ猿山は帰ってねぇんだぞ。何考えてんだコイツ。 「ってなわけで米田君。こたつの中に入って来て」 え、こんなクソ暑いのに?と言いたいところだったが。映画が始まり、雰囲気を楽しむ為に部屋の電気を消した猿山が、俺の斜め前に座ってきた。 流石にこの距離では、小声でも喋ってもバレてしまう。 「……チッ」 仕方なく、体操座りの体制でこたつの中へ身体をすっぽり埋める。 出てるのは顔と背中だけの状態で、正直暑苦しい。 というか、これでご褒美をもらうってどうする気なんだ? 未だ青峰の考えが読めないまま、とりあえず映画を見ているとーー。 ズボンのチャックが、ゆっくりと下ろされていた。 「ッ!!」 まさかとは思うがコイツ。この状況でおっぱじめる気じゃ!? 「ちょっ!」 「ん?どうした?」 「あ、いや……」 まさかのその嫌な感は当たり。青峰はそのまま、俺のズボンとパンツを引きずり下ろした。 近くに猿山がいるというのに。こたつの中で、俺の下半身は丸出しになっている。 抵抗しようにも、近くに猿山がいるせいで何も出来ない。青峰もそれを分かっていて、ワザとやっているんだろう。 「う……く、そ」 体は熱いのに、下だけがスース―する。女がスカートを履いてるってもしかしてこんな感じなのか? 「……ちゅ、ちゅ」 「ぅっ!///」 さっきまでスース―していた俺のモノが、ねっとりと温かいものに包まれた。 「っーーーー!!///」 見えない中で、青峰は俺のを咥えている。 まるで全ての精液を搾り取ろうとせんばかりにじゅるじゅると俺のを舐めとって、時々舌先で先っぽをクリクリと弄ってくる。 フェラくらい色んな女にさせてきた。だからこんなのは慣れているはずなのに、こいつのこれはそんな気持ちいものなんかじゃない。 例えるならまるで肉食獣に味見されている様な感覚だ。いつ牙をむかれ、食われるか分からない。 でもその恐怖が俺の下半身をより刺激させ、いつのまにか俺はアレは興奮で勃起していた。 それが嬉しかったのか、青峰の行動はより激しさを増していく。 「ふっ、ぅ……///っーー//」 口で何度も何度もしごかれながら、俺の精液を使って青峰は俺のケツの穴に指を突っ込み始める。 最近コイツに突っ込まれたせいで緩くなっていたのか、意外にも指は簡単に俺の中へ入ってきた。 最初は異物感が腹の中を押して来るみたいで気持ち悪かったのに、今は前も弄られているせいか、相当気持ちがいい。 「んんっ//」 前も後ろも同時に弄られて、今にもイってしまいそう。 相手は男なのに、俺が嫌いな奴なのに、どうして俺の身体はこんなにも反応してしまうんだ。 「オイ、大丈夫か?」 猿山の心配そうな声が聞こえた瞬間、胸が締め付けられた。 そうか……俺は今、猿山の目の前で青峰に犯されているんだ。 もしこれがバレたりしたらーー。 「え、いが……が。怖くて///」 なるべく平常心を装ったつもりで答える。 バレたくない。 猿山の前でイきたくない。 頼むから今だけはーー。 「こんな……情けない、おれ……を、みないで、くれ///」 「え!?///……あぁ……わりぃ///」 あれ?あの察しの悪い猿山が分かってくれたのか、すぐに俺から視線を外してくれた。 良かった。とりあえず助かった。 「……米田君のばか」 「え?っーー!!///」 安心で気が抜けた瞬間。俺の中を掻きまわしていた指が二本に増えて、さらに奥を深く突き上げてくる。 それだけでも絶頂に達してしまいそうなのに、それと同時にちんこも上下に激しく擦られて、さっきまでスース―していた俺の下半身はもう、熱い精液と唾液でぐちゃぐちゃに濡れてしまっていた。 ーーもうヤバい。頭がクラクラする。 目の前の映画も、猿山の事すらも考えられなくなってきて。もう泣き叫んでしまいそうになった瞬間。 俺は、青峰の口の中で一気に精を吐き出した。 溜まっていた快感がやっと解放されて、少しずつ頭が冴えてくる。 「はぁ……はぁ……///」 あぁ俺は、友人の目の前で男に犯されてイってしまったのか? しかも多分、俺の精液飲まれたし。 これが相手が女なら、まだこんな罪悪感は感じなかっただろう。 けど今犯された相手は、俺と猿山を殴った男。 罪悪感と羞恥心が、未だに心臓をバクバクさせている。 「なぁ竜二、そんなにさっきの場面怖かったか?」 「え?」 どうやら俺がイった時が丁度怖いシーンだったらしく、何も知らない猿山は勝手に勘違いしているようだ。 「あ、あぁまぁな……」 猿山マジですまん。 今度絶対、回らない寿司奢ってやるよ。 そんでもって青峰は後でボコボコにする。 今頃ご褒美を貰えて満足げな顔をしているであろう青峰を想像しながら、俺はパンツとズボンを上げて、二本目のビールを一気に飲み干した。

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