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第16話
ベッドサイドにお行儀よくたたまれた制服のポケットから、麻希は何やら取り出した。
「はい、今日の分」
可愛い文鳥がたくさん描かれている、ポチ袋。
開けてみると、そこには折りたたまれた10000円札が入っていた。
「やっぱり受け取れないよ、お金なんて」
常識的に一真はそう言ったつもりだったが、途端に麻希は機嫌を損ねた。
「勘違いしないでよね。僕は、先生の身体を買ったんだから」
「佐倉」
「恋とか愛とか同情とか、いらないから。これはビジネスだよ」
解った、と一真は紙幣を受け取った。
そこまで言われれば、受け取らないわけにはいかなかった。
(恋も愛も同情も、いらないか)
一真は麻希を見送ると、肩を落として溜息をついた。
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