28 / 32

第28話

 まさか、と麻希は袋を開けた。  中には、数十枚もの10000円札が入っていた。  しかも、どの札にも同じような三つ折りの折癖がついている。 「まさか、このお金って……」  一真は頷いた。 「今まで佐倉が俺に支払ってきた10000円札だ」  使うに使えず、どんどん溜まっていった10000円札。  受け取れば受け取るほど、辛かった金。    ならば、こうして使えばいい。  麻希に返すんじゃない。  卒業祝いとして、渡すんだ。

ともだちにシェアしよう!