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第101話※
「っ?!」
ふと、気配を感じたのだろう。
不意に横を向いた山岡が、間近にいた日下部にギョッとなった。
そのままカァッと赤くなっていく頬に、日下部は薄く目を細める。
パッと視線を逸らし、羞恥に俯く山岡にクスッと笑って、日下部はチェストの中からバイブを取り出した。
「え…」
そのままポイッと山岡の目の前に放られたバイブ。コロンと転がったそれを、山岡がまじまじと見る。
「自分で挿れろ」
言うだけ言って、日下部は再び壁際に戻り、先ほどと同じように壁に寄りかかり、腕組みをした。
「っ…日下部せんせぇ…」
スッとお尻から手を引いた山岡が、フラリと後ろを振り返った。
「駄目だよ、許さない」
無理、と言わんばかりの山岡の目を返り討ちにして、日下部は悠然と佇んでいた。
「俺以外に後ろを犯されようとしたんだ。そんな玩具くらいどうってことないだろう?」
「っ…」
わざと責めるように言えば、ストンと俯いた山岡が、素直にバイブを手に取った。
「っ…い、や…」
さすがに辛いか、何とか後ろに回した手で、バイブの先を蕾に触れさせた山岡が、ボロボロと泣き出した。
手に力を込める勇気が出ないのだろう。
ピタリとバイブを後ろに当てたまま、固まっている。
「あんな真似が出来て、バイブは無理?それは通用しないんじゃない?」
冷たく、他の男に抱かれようとしたことを責めた日下部に、山岡はズズッと鼻をすすりながら、グッと手に力を込めた。
「ひ、い…やぁ、あぁぁ…」
グイグイと、自身の手でバイブを押し込んでいきながら、山岡はボロボロと泣いた。
泣きながらも、バイブを挿れていく手は止めない。
「うぁぁ…やぁ、いゃぁ…ひぅぅ…」
ズブズブと埋まっていくバイブをのんびりと眺めながら、日下部は、まさか本当に山岡がここまで出来るとは思っていなかった。
(てっきり、泣きじゃくってもう許してと縋ってくるかと思ったが…)
そこまで罪悪感が深かったのか、と思う日下部は、奥までちゃんとバイブを挿れた山岡に、ゆっくりと近づいた。
「ふぇっ…ふぇぇっ、ひっく…は、入りま、した…」
ボロボロに泣きながら、お尻にバイブを咥えて震えている山岡。
その姿を見て、日下部の嗜虐心に火がつく。
「ふぅん。自分でそんなの後ろに挿れて、前をこんなに勃たせて、淫乱だね、泰佳は」
クスッと笑って意地悪を言う日下部に、山岡はまたポロポロと涙を溢れさせながら、フルフルと首を振った。
「それじゃぁ、他の男に抱かれても平気なわけだ?」
「っ…そんなこと…っ」
「コレ、ちゃんといいところに当たってる?」
コレ、と言いながらベッドにキシ、と乗り上げた日下部が、山岡の後ろに刺さっているバイブを軽く揺らした。
「あぁっ!いゃぁ…」
途端にビクビクと仰け反った山岡に、日下部は満足する。
そのまま山岡の肩に手を掛けて、グイッと後ろに引いた。
「っわぁ!」
引っ張られた勢いでバタンと仰向けに倒れてしまった山岡は、一瞬ついたお尻の奥に、更にバイブが刺さってしまい、泣きながら身悶えた。
「いゃぁ…やぁ」
うわーんと泣きながら、仰向けに寝ている山岡の足を、日下部はグイッと持ち上げ、バイブの入ったお尻を露わにしてしまった。
「ひぃゃぁ…いゃぁ…」
イヤイヤと首を振る山岡を無視して、バイブのスイッチに手を伸ばす。
躊躇なくそのスイッチを入れた日下部に、山岡の身体がビクンッと跳ねた。
「あぁぁぁっ!」
しっかり前立腺に当たっているバイブの先。きっとたまらない快感が湧いたことだろう。
それを証明するように、山岡の中心は完全に勃ち上がり、リングがキツく食い込んでいる。
「いやぁ、痛い…気持ちいっ…いゃぁ」
ブルブルと震え、快感に悶える山岡を、日下部は静かに見下ろした。
「どう?バイブに犯される気分は」
「いやぁ、いやぁっ」
「このままバイブにイかされる?もちろん空イキだけど」
クスッと笑う日下部に、山岡はブンブンと首を左右に振った。
「いやっ、いやだぁっ…」
「でも泰佳がしようとしたことは、そういうことなんだよ?」
「っ…ごめっ…ごめんなさいっ…」
「ん?」
「いやっ。嫌だっ…日下部せんせ、以外なんてっ…本当はいやっ…」
「ふぅん」
「ごめっ、なさっ…。千洋がいいっ!千洋じゃなきゃやだぁ。やですっ…」
うぇーんと泣きながら、射精の欲求にわけがわからなくなりつつある山岡が叫んだ。
「やだっ、いやだぁっ…千洋がいいっ、千洋しかいやぁ…」
「ふふ」
「ごめっ、なさっ…身体、穢そうとなんかしてっ…千洋以外に許そうとなんかしてっ…」
「うん」
「ごめっなさいぃっ、オレはっ…千洋しか嫌だぁっ…許して、もっ、許して…千洋でして…っ」
ブンブン首を振りながら、滅茶苦茶に泣きじゃくりながら、山岡は、日下部が1番言わせたかった答えを叫んでいた。
「ん。わかった?泰佳はもう俺以外には抱かれられないんだよ」
「うぁぁっ、わ、かったぁ…っ」
「ん、いい子だ。ご褒美に、俺でしてやるな」
ニコリと笑って、日下部は山岡の後ろから一気にバイブを引き抜き、代わりに充てがった自分自身で奥まで一気に貫いた。
「っ…あ、あぁぁっ!」
途端にビクビクと仰け反り、山岡がイッたのがわかった。
リングのせいで射精できなかったため、長引く絶頂に、ヒクヒクと身体を引きつらせている。
日下部が入った中も、ゾワゾワとうごめいて、日下部を締め付ける。
「くっ…。挿れた瞬間にいくとか、可愛いすぎ」
クスクス笑う日下部は、まだ絶頂の余韻にヒクつく身体を、さらに突き上げた。
「いやっ、動かないでっ…またっ、またイッちゃうぅ…あぁぁぁっ!」
ヒクンッと仰け反った山岡の身体が、2度目の空イキをしたのがわかる。
後ろの締め付けにあった日下部が、もっていかれそうになるのを堪え、ゆっくりと腰をグラインドさせる。
「あ、あ、あ…」
続け様にいかされ、イキっぱなしになりそうな恐怖に、山岡が手を伸ばして日下部にしがみいた。
「ん。最後は一緒だぞ?」
激しく腰を打ちつけながら、日下部は山岡の中心に手を伸ばした。
「ひぃゃぁ、あぁぁっ…またっ…いくっ、からぁっ…」
「んっ…くっ」
「あぁぁぁっ、千洋ぉっ!」
もう、完全にわけがわからなくなっている山岡が、日下部の肩を痣になりそうなほど強く掴んで、ヒクンッと仰け反った。
「っ…」
日下部も、目の前に見えた絶頂の予感に、素早く山岡の中心を戒めていたリングを外す。
「っ、あぁぁぁっ!」
「っ…泰佳…」
ビュルルッとそれまで塞き止められていた精を思い切り吐き出した山岡に、日下部もドクッと欲を放った。
「う、れし…」
ふわんと微笑んだ山岡が、クタッと脱力した。
そのまま気を失ってしまった山岡を見下ろし、日下部はさすがにやり過ぎたと苦笑する。
「しかも中で出しちゃった…」
いつもは気をつけていたが、今日はゴムをせずに抱いてしまった。
「多少は俺も本当に苛立っていたか…。ははっ、山岡に対しては、独占欲の歯止めがきかない…」
思わず所有の証を刻んでしまったことを笑いながら、日下部はゆっくりと自身を引き抜いた。
途端にドロッとした日下部が吐き出したものが流れてくる。
「う、わ。卑猥…」
思わずその様子にそそられながらも、日下部は意識のない山岡の身体をそっと抱き上げ、風呂場に運ぶ。
完全に気絶している山岡の中から自分が出したものを掻き出し、綺麗に清めてやる。
「目を覚ましていたら全力で嫌がるだろうな」
それも見たいけど、と意地悪な思いを浮かべる日下部は、やっぱりどSだった。
「おやすみ、泰佳。愛してる」
チュッと首元にキスマークをつけて、日下部は綺麗になった山岡の身体をタオルに包んで寝室に戻った。
手早くシーツを替えて、眠る山岡に布団を掛けてやる。
日下部がこんなに甲斐甲斐しく世話を焼いてやる相手は、山岡の他にいない。
「ありがとう」
出会ってくれて。愛することを教えてくれて。愛してくれて。そして必死でこの手を守ってくれて。
たまらない思いを湧き立たせながら、日下部はスヤスヤと眠る山岡の綺麗な顔をのんびりと眺めていた。
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