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第133話※

そうして言われた通りに見つけた紙袋。 チラリと覗き込んだその中に見えたのは…。 「耳?」 カチューシャのようになっている、犬かキツネか、そんなような耳だった。 「山岡、まだ?」 リビングの方から、日下部が急かす声が聞こえた。 焦りすぎて、ドアがきちんと閉まっていなかったのが見える。 山岡は、慌てて紙袋を提げ、パタパタとリビングに戻った。 「中身、出してごらん」 紙袋を日下部に差し出したら、反対にテーブルの上を示された。 仕方なく山岡は、袋の口を開き、中に入っているものを、1つずつテーブルの上に並べて行った。 「っ…」 先ほどチラリと見えた耳に、首輪。ローションと、そして極めつけは、先に尻尾のついたプラグだった。 「これ…」 「うん。1週間貞操帯が嫌なら、今日1日、俺に忠実に従う犬ってのはどう?可愛い忠犬。決して俺を裏切らない、な」 「っ…」 ニコリ。並んだ道具の中から、首輪を手に取り、日下部は壮絶な笑みを浮かべる。 「どっちにする?」 選択を迫る日下部に、山岡の選択肢は2つあるようで1つしかなかった。 1週間より1日。他人の目がある場所でまで続くより、ここだけで済む方。 「いぬ…」 ポツリと言った山岡に、日下部はニコリと笑って頷いた。 「だろうね。じゃぁ全部脱いで」 山岡の答えに満足し、冷たく命じた日下部に、山岡は静かに俯いて、諦めたように服を全て脱ぎ去った。 明るいリビングの中、しっかりと服を着ている日下部の前で1人だけ全裸。恥ずかしくて惨めでたまらないのだろう。顔を真っ赤にした山岡は、それでも浮気をした自分が悪いのだからと、必死で耐えていた。 (本当、素直で可愛いな。震えちゃって…ますます苛めたくなる) 今日のお仕置きはもう遊び半分の日下部は、こっそりと悪い笑みを浮かべている。 その目の前で大人しく反省を見せている山岡は、可哀想な獲物だった。 「おいで。まずはこれをつけてあげる」 クスッと笑った日下部に近づけば、すぐに首元に伸びてきた日下部の手で、山岡に首輪がつけられてしまった。 まるで測ったかのようにサイズがピッタリだ。 「痛くない?」 「っ…大丈夫です…」 「屈辱?」 「っ…ん」 当たり前、と頷く山岡を、心底楽しそうに眺める日下部は、やはりどSだ。 「さて。ソファに上がってお尻を向けて」 次は、と尻尾つきのアナルプラグを手にした日下部に、山岡の身体がビクッと跳ねた。 「っ…」 あれを挿れられるのか、と怯えを見せる山岡は、恐怖と羞恥で震える身体を抱きしめた。 「ちゃんと慣らしてから入れてあげるから」 「っ…んっ」 それは、言うことを聞かなければそのまま突っ込むと言っているのも同然で、山岡はピクッと身体を震わせながら、渋々ソファに上がって尻を突き出した。 「まだ赤いね」 「っ…」 昨日叩かれた跡のことを言っているのだろう。まだ痛みが残る山岡は、スルッとお尻を撫でられた手にビクッと身体を強張らせた。 「力抜いてろな?」 スッと割れ目の間に差し込まれた指が、蕾の中に突き立てられた。 ローションをつけたのか、痛みも抵抗もなくナカへと侵入していく。 「っ、う、んっ…ぁぁ…」 ツプッと潜り込んだ指を中で折り曲げられ、山岡はゾワゾワと湧き上がる不快感に耐えた。 「っ…ぁ、やぁ…」 クチュクチュと後ろを解す指が2本に増えた。トロトロと垂らされるローションが冷たい。 「んぁ…っ、はぁんっ…」 ヌルヌルと出入りする日下部の指に快感を感じ始め、山岡は無意識に腰を振っていた。 「いやらしいね。腰が揺れてる」 「っ…」 「そうやってとらも誘ったの?」 「っ、違っ…」 意地悪く言う日下部に、山岡はフルフルと首を振った。 「違わないからこうしてお仕置きされてるんじゃないの?」 「っ…オレ…」 本当は覚えていない。酔って記憶をなくしてしまった山岡は、けれど無理矢理の形跡はなかったことはわかっていて、ギュッと唇を噛み締めた。 (反論しない、か。だからつけ込まれるんだって…) つけ込んでいる張本人が思いつつ、日下部はスッと指を引き抜いた。 「まぁ、感じてもいいよ」 クスッと笑いながら、日下部は抜いた指の代わりに、尻尾つきのプラグをあてがった。 「っ…あぁっ!」 たっぷりとローションを塗ったプラグが、山岡の中にズブズブと押し込まれていく。 そこまで太さのないそれは、簡単に山岡の中に収まった。 「っ…」 尻の間からプランと尻尾を生やし、小さく震えている山岡が、たまらなく可愛い。 日下部はわざと尻尾を揺らして、山岡の太ももをくすぐるそれを眺めた。 「似合うよ」 ニコリと嬉しそうに言われても、山岡の方は、まったく喜べない。 これで1日過ごすのかと、すでに絶望的な思いに項垂れている。 「はい、後は耳」 クスッと笑いながら、カチューシャをつけた日下部が、出来上がった山岡犬を満足そうに眺めた。 「可愛い、可愛い」 「っ…」 「じゃぁこのまま今日1日過ごすのがお仕置き。1日いい子に言うこと聞けたら、人間に…恋人に戻してあげる」 ふふ、と笑った日下部が、ソファの上で縮こまっている山岡の頭を撫でた。 「っ…」 恋人に戻す、という日下部の言葉は、意外と山岡の心に突き刺さった。 (そうだオレ、恋人以外と寝たんだ…。ちゃんと許してもらわないと、恋人でいる資格ないんだ…) しんみりと俯いた山岡は、素直にコクンと頷いた。

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