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第169話※

「じゃぁ先にジギタールしようか」 ふふ、と笑う日下部は、今度は医療用手袋を取り出した。 「嫌です…いや、お願いです、日下部先生。もう許して…」 恥ずかし過ぎる、と泣く山岡に、日下部はゾクゾクと快感を煽られた。 「診察拒否?ねぇ?患者さん」 「っ、だってオレ…どこも悪くないですっ…」 「ふぅん。でも山岡、忘れちゃった?」 「っ…」 「自分のアッペに気づかなかった山岡の、どこも悪くない、は信用できないな~」 ニヤリと笑う日下部は、完全にSモードだった。 「っ…千洋ぉ」 潤んだ瞳を向け、理性が飛んだときと、無意識に何かをねだるときにだけ口にする名を、山岡はまたもこうして計算なく呼んだ。 「ずるいよな、それ。仕方がないから、どれか1つで許してやるか」 ふっと笑う日下部は、それでも結局、1つはやることを譲らない。 どれか1つはされてしまうというのに、けれど山岡はうっかり騙されてしまう。 「本当ですか?ありがとう、ござ…ます…」 「うん。どれにする?」 「っ…」 「うん?選ばないなら、全部だよ?」 「いやっ…いやです。じゃぁ、ジギ…」 かぁっと顔を真っ赤に染めながら、ぼそっと呟いた山岡に、日下部の目がゆるりと弧を描いた。 「ふぅん。いいよ」 クスッと笑う日下部は、わざとゆっくり手袋をはめる。 (どうせそれならいつもされている前戯と変わらないとでも考えたんだろ?だから甘い) お仕置きと名を付けて、意地悪する気満々の日下部が提示する選択肢に、マシも楽もあるわけがないのに。 相変わらずすれていない山岡にほくそ笑みながら、日下部は手袋をはめた手に潤滑剤を塗った。 「はい、横になって、お尻出して」 「うぅ…」 「ほら、唸ってないでシムス位」 グズグズ躊躇う山岡に、日下部はニヤリと笑った。 「嫌なら無理矢理、砕石位にさせるかな。それとも膝胸位の方がお好み?」 明らかな脅しに山岡はギョッとして、慌てて身体を横にしてズボンをずり下げた。 「っ…」 「初めから素直にしてくださいね~」 ふざけて医者口調に戻る日下部に、山岡はすでにシクシクと泣いている。 それすら楽しみながら、日下部は目の前に横たわっている山岡の身体に手を伸ばした。 「もう少し右足曲げて…」 「っ…、やぁ…」 突き出された山岡のお尻に、日下部の手が触れる。 「っ!」 ビクッと震えた山岡の身体に構わず、日下部は双丘の間に指を滑り込ませた。 「力を抜いていてください」 「っ、ひっく…」 顔を両腕で隠して、山岡が小さな嗚咽を漏らす。 泣いても一向にやめてくれる気配のない日下部の指がツプッと潜り込んできて、不快感からか小さく震えた。 「ん~、大腸ガンはないね。ポリープもなし」 お尻の中に触れながら、どこまでも診察の体を貫く日下部に、山岡はポロポロ泣きながら震えている。 「ふふ。こっちはどうかな?」 ニヤリ、と悪い笑みを浮かべた日下部は、意図的に前立腺を押した。 「ふぁっ…ぁぁやぁ…」 ビクッ、と震えた山岡が、モゾモゾと足を動かす。 「ん?うん、まぁ肥大はないよね」 「やぁぁ…」 わざと執拗に、グリグリとそこばかり刺激する日下部に、山岡の中心が頭をもたげてくる。 「もっ、やっ…ぬ、いて…」 手探りで枕を引き寄せた山岡が、涙に濡れた顔をギュッと抱きしめた枕に埋めた。 「ふふ、抜いていいの?腰、揺れてるけど」 クスクス笑う日下部は、山岡の状態がよくわかっている。 その上でなおもわざと、前立腺を刺激する。 「んっぁ…はぅぁっ…」 しっかり勃ち上がってしまった中心に、切なく悶えてしまう山岡の身体。 ポロポロ泣きながら、必死で快感を堪えている。 「やぁ、日下部っ、せんせ…っ」 「ん?あぁ、EDもなく健康、健康」 クスクス笑いながら、日下部は山岡が限界寸前になるまでそこを刺激し、不意にスッと指を引いた。 「っあ…?」 思わず快感を追っていた山岡は、突然それをはぐらかされて、喪失感にポカンとした。 高められた熱が解放寸前で行き場をなくし、荒れ狂う快感に悶える。 「っ、や…いやぁ…」 お願い、と腰をよじる山岡を楽しそうに見下ろして、日下部はコロンと山岡の身体を仰向けにさせた。 「やっ…」 天を向く中心をあらわにされ、山岡が嫌がって寝返りを打とうとした。 けれども日下部はそれを許さず、山岡の身体を押さえてニコリと微笑んだ。 「恥ずかしがらなくても。男性はそこを刺激されるとそうなるんですよ?」 ふふ、と笑う日下部に、山岡はわかってるけど!と涙に濡れた目を恨めしそうに向ける。 「苦しそうですね。どうぞ、自分でしていいですよ」 「え…」 「見ていてあげます」 ニコリ。一体どんなセクハラ医者だ、と思いたくなるような日下部の言動に、山岡は目を大きく見開いて、またボロボロ泣き出した。 「嫌です…いや…」 泣きながら首を振る山岡に、日下部はバサリと白衣を脱いだ。 「自慰くらいしたことあるだろう?今日は自分でしてみせて」 ニコリと笑う日下部に、山岡はようやく、日下部の目的は初めからこれだったのだと察した。 「っ、日下部せんせ…」 「ん?ほら」 クスクス笑いながら、日下部は手袋を外し、山岡の手を取って中心に導いた。 「いやぁ…」 「ふふ、少し手伝ってあげる」 楽しそうに笑いながら、日下部は山岡の手に自分の手を重ね、山岡の中心に指を絡めた。 「んっ…あぁっ…」 軽く上下に動かせば、すぐに揺れる山岡の腰に、自然と自分のいいところを擦り始める山岡の手。 日下部は添えた手を数回動かし、そのままそっと手を離した。 「んっぁ…はぁっ…」 日下部の手が離れた後も、山岡はまるで快感に操られるように、自分で中心を愛撫し続けた。 「んっ…あぁ…んぁっ…」 快楽に溺れていく山岡を、日下部が楽しそうに眺める。 山岡は、すっかり快感に飲み込まれたのか、日下部の存在を忘れ、解放に向けて自分で手を動かしていく。 「んっ…いく…あぁ、ち、ひろぉっ…」 トロンとなった山岡の目に、無意識に口走った名前。それを聞いた日下部の目が、歓喜に震える。 「っ!」 強く早く手を動かした山岡が、ビクンと身体を突っ張らせて、中心から白濁を吐き出した。 「っ、あぁ…」 「可愛いかったよ、泰佳」 自分が吐き出したもので手を汚してぼんやりする山岡に、日下部はティッシュを差し出しながら微笑んだ。 「っ…オレ…。いやぁっ…」 不意に日下部に見られていたことを思い出したのか、山岡が慌てて布団を引き寄せ、隠れようと暴れた。 「泰佳、好きだよ」 布団を押さえて山岡の逃げ場をなくし、日下部がニコリと微笑んだ。 「泰佳…愛してる」 恥ずかしがって俯く山岡の顔をクイッと上向けて、日下部はその唇をゆっくりと塞いでいった。 「んっ…」 ギュッと固く結ばれている山岡の唇を、舌で軽くノックする。 馴染みの合図に素直に開いた山岡の口内に、日下部はスルリと舌を滑り込ませた。 「んっ、ぁ…」 日下部の舌使いに、山岡の舌が必死で応えてくる。 初めの頃に比べたら大分慣れた、けれどもまだまだつたないキスに、それでもゾクゾクと悦びを感じる日下部は、やっぱり山岡にべた惚れなのだ。 ヘニャリと山岡の身体から力が抜けていくのを感じながら、日下部は山岡の口内を思う存分味わって、そっと唇を離した。

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