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第220話※

日下部がそっと寝室のドアを開けた途端、山岡の切ない悲鳴が響いた。 一瞬でパタンとドアを閉じた日下部は、ゆっくりとベッドに近づいた。 「っ、あぁぁ、んっ、ふっ…」 パタパタと頭を振り、辛そうに身を捩っている山岡が、ベッドの上にいる。 その腹は自身が吐き出したもので汚れ、皺の寄ったシーツにも染みを作っていた。 「んぁっ…やぁ、やぁ…ちひろ、ちひろ助けて…」 ぼんやりとした目で、うわ言のように呟いている山岡を見て、日下部はクスッと笑った。 「泰佳」 ヒョイッと山岡の顔を覗き込んだ日下部に、山岡の虚ろな目が向いた。 「ち、ひろ…?っ、んぁっ…」 バイブの刺激が辛いのか、ピクンと震えた山岡は、ボロボロに泣いていた。 「ふふ、何回イッたの?」 スッと山岡の涙を掬いながら、日下部が意地悪く笑った。 「っ、やぁ…千洋、とって…もっ、許し…あぁぁ」 キシキシと手の拘束から伸びるベルトを軋ませながら、山岡はフルフルと首を振った。 「何回?」 クイッと顎を捕らえられ、山岡はボロボロ泣きながら、震える口を開いた。 「3っ…か、い…」 やぁぁぁ、と叫び声を上げながら、山岡が悶えた。 「最初の入れて4回か。辛い?」 「っ…」 日下部の問いに、コクコク首を振る山岡の中心は、緩く勃ち上がっていた。 「反省できた?」 「したっ…したから、千洋ぉ…」 許して、と縋る目を向ける山岡にゾクリと悦びを感じながら、日下部は山岡の中心に手を伸ばした。 「っ、やぁっ、もっ…むり…」 辛い、と悲鳴を上げる山岡を無視して、日下部は山岡の中心を握った手を上下に動かした。 「やぁぁ…」 「これで最後にしてやるな。最後はこっちで達かせてやるから」 ニコリと微笑む日下部に、山岡は泣きながら無意味に首を振っていた。 「あぁぁ…ち、ひろぉ…」 イヤイヤと言いながらも、与えられる刺激に勃ち上がる山岡のペニス。 日下部は、すでに何度も出してドロドロのそれを、緩急をつけて扱き上げた。 「っ…あ、うっ…」 ビクンと身体を突っ張らせた山岡の中心から、ピュッとすっかり色の薄くなった液体が吐き出された。 「よく出来ました」 クタリと力をなくした山岡に笑いながら、日下部はようやくバイブのスイッチを止めた。 すっかり脱力している山岡の後ろから、ズルッとそれを引き抜く。 ビクリと震えた山岡の身体を優しくなだめながら、日下部は両胸のクリップを外し、両手両足の拘束も解いてやった。 「ふぇぇっ…」 ポロポロと泣きながら、寝そべったままの山岡を、日下部はひと通り観察する。 「ん…」 手首にも胸にも傷がないのを見て、日下部はニコリと笑った。 「大丈夫?」 「っ…だ、いじょぶなわけ…」 ない、と最後まで言えずに、山岡は泣きながらフラリと手を持ち上げた。 拘束されていたせいで痺れてでもいるのか、わずかに山岡が顔を歪めた。 「ん?」 「千洋の、意地悪っ…」 うぁ~ん、と泣きながら、山岡が持ち上げた手で、ギュッと日下部の腕を掴んだ。 真っ赤な目でジッと日下部の目を見つめる山岡の表情は、日下部を責めてはいない。 それどころか、抱き締めて、慰めて、と訴えているのがわかり、日下部は堪らなくなって、山岡をヒョイと抱き起こし、その腕の中に引き込んだ。 「可愛い、泰佳」 「っ…が、んかに…」 行ってください、といつもの台詞を吐く山岡に笑いながら、日下部は抱き締めた山岡の唇に口を近づけた。 「んっ…」 ゆったりと優しいキスを落とす日下部に、山岡の目がホッと緩んで、静かに閉じた。 「好きだよ、泰佳。大好きだ」 「ち、ひろ…」 ニコリと嬉しそうに笑った山岡は、そのままクタリと気を失った。

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