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第7話
一体、どのくらいの時間そうしていただろうか。由紀也が酩酊気味に安藤を貪っていると、突然安藤が大きく右腕を動かし、油断している由紀也の手を振り払い、両手を使い思い切り由紀也を突き飛ばした。
安藤の力に押された由紀也は体勢を崩しよろめき、安藤はその隙に走って部屋を出ていった。
彼が部屋を出る前に由紀也は「安藤さん!」と呼んだのだが、答えることなく安藤は去って行った。
由紀也は安藤が去り静かに閉まっていくドアを見つめ、茫然と立ち尽くした。『何てことをしたんだ』という後悔の念に苛まれながら。
もう、酔いなど吹っ飛んだ。どうしても、一回でいいから安藤に触れたかった。ただそれだけ。でも、正気になると今後を考えれば後悔しか浮かんでこない。
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