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第8話
翌日は日曜で、1日置いて月曜日に由紀也は遅番だったので、出勤した時には既に陸斗は登園していた。同じクラスの他の担任が早番だったため、それとなく陸斗が登園してきた際の様子を聞いてみた。同僚によると、いつもと変わらず父親である安藤によって連れて来られたが、帰りは安藤の母が迎えに来るということだ。
その日は、何かあったのかと思うくらいで、さして気には留めていなかったのだが、そのまた次の日からは安藤は朝でさえ姿を見せなくなった。
出張にでも行ったのかもしれないとも考えたが、それなら担任である由紀也には事前に伝えるはずだ。色々考え、やはり避けられているのだと由紀也は思い至った。
仕方ない。突然あの様な行動に出てしまったのだから、顔を見たくないとでも思われたのかもしれない。『やってしまった…』と思わなくもないが、自分の気持ちは本物なのだし、撤回する気はないとも思う。
安藤が保育園に姿を見せなくなってから一週間が経とうという頃、由紀也のクラスでは午前中に子供たちがブロック遊びをしていた。保育士はその中に混ざり一緒に遊ぶのだが、由紀也は何となく陸斗の傍で見守っていた。そして、それとなく陸斗に聞いてみた。
「お父さん、最近見ないけれどどうしてるの?」
すると、陸斗はどうということもなく答える。
「パパね、元気だよ?」
「え?あ、そう…」
元気だけど来られない…やはり避けられている公算が高そうだ。
「でも、ね…」
続けて陸斗が寂しそうな顔をした。
「パパ、お休みの日もお仕事をしてるからあんまり遊んでくれないんだ」
それを聞いて、由紀也にはちょっとした疑念が浮かぶ。安藤は会社員のはずだが、休日も家に仕事を持ち帰っているということだろうか。それとも、休日出勤をしている?取り敢えずは、忙しくしているようだということは分かった。
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