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第11話
それから一週間が過ぎ段々と暑さが増してきた頃の朝、由紀也は早番で保育園の玄関にいた。すると、陸斗が勢い良く駆け込んできた。
「由紀也せんせいおはよう!」
陸斗の笑顔を見ると、由紀也の心も和む。
「陸斗くんおはよう!今日も元気だね」
「うん!いっぱい遊ぼうね!」
「そうだね!いっぱい遊ぼう」
陸斗と目線を合わせて頭をポンポンと優しく叩くと、彼はより一層嬉しそうな笑みを零した。
すると、1日たりとも忘れたことのなかった人が玄関に現れた。
「安藤さん…」
由紀也が驚き呟くと、安藤は前と同じ笑顔を見せた。
「お久しぶりです。なかなかに忙しくて、ずっと来られませんでした」
以前と安藤は変わっていない。
由紀也は、飲みの日にしでかしたことを思い出した。何とも言えない恥ずかしさがある。もしかしたら、やはりあの件があったから安藤は怒ったか気持ち悪く思い、由紀也を避けていたのだろうかと思っていた。
今でも罪悪感があり、顔を合わせ辛い面もある。
安藤は今どう思っているのだろう。
本当は謝罪したいところだが、ここに人は今あまりいないとはいえ、保育園で話す話題ではないだろうかとも思う。
結局、その日は当たり障りないあいさつをしただけに留まった。
本当は、喉元まで雑誌の件について聞きたい気持ちがせり上がってきた。けれど、自分がその雑誌を見たことも変に思われそうだし、聞いちゃいけないだろうかとも思ったりして、ごちゃごちゃ考えてしまい結局何も言えなかったのだ。
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