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第24話

「いいんですよ。前から、安藤さんは莉々花ちゃんのお母さんを見てたこと、知ってました。僕の気持ちはもうあなたに告げてしまっていますけど、もうどうしたいという気はありませんから。僕のことは気にしないでください」 「…先生…」  安藤はどうすれば良いか迷っているようだった。 心が千切れそうだ。本当は両想いになりたいし、自分を愛してくれたらどれだけ嬉しいか分からない。でも…。 「ぼ、僕は…安藤さんの傍にいられるだけで…幸せですから」  苦しくて、涙が出そうだ。でも何とか堪えた。きっと、このまま保育園での繋がりと、ここでの繋がりがあっても由紀也は辛い思いをするだろうし、キリリと心を痛める場面もあるだろう。しかしこの恋を投げ出したくなっても、たぶんできないだろうとも思う。 「俺は、彼とは何もないですし、どうなる気もありませんよ。それに、佐野さん(理津香のこと)には彼氏がいますしね」 「え、そうなんですか?」  彼女に彼氏がいるとしても、安藤は理津香を好きだとしたら、由紀也にはやはり勝算はないかもしれない。それを考えると、由紀也は少し気落ちしてしまう。 「えぇ。確かに、俺は彼女に憧れていました。でも、どうこうしようとは思ってませんでした。それに俺、今は他にとても気になる人がいるんですよね」  安藤は、柔らかな目で真っ直ぐに由紀也を見つめてきた。そして両手を由紀也の頬に添えて言葉を続けた。 「好きです…北向先生」 「え?」  にわかには信じ難かった。いや、安藤が嘘を吐いているとは思えないけれど、現実味が感じられない。

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