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中学で、オレは完全にグレた。
生意気なオレが先輩に目をつけられる。潰しに来る。喧嘩になる。
何人でかかってこられても余裕で殺せるので、いつも返り討ちにして、そして最後に尚ちゃんがきれいにことを収めてくれた。
なんだか分からないけど、うまいこと、何もなかったかのようにもみ消してくれて、不思議だった。
尚ちゃんは本当に、何でもできて、喧嘩も強くて、いつもすごくて、親友だし憧れのヒーローでもあった。
しょっちゅう女の子に告白されていたけど、『ヤって捨てたよあんなブス』とかさらっと言うので、いつも内心ほっとしていた。
なぜだかは分からないけど、自分の手の届かないところに行ってしまうのがいやだとか、そんな感じだったのだと思う。
そして、この辺りから、オレはちょっと自分がおかしいなと思い始めた。
中学生なんて性欲の塊で、オレは普通に猿だったから適当にセフレをいっぱい作っていたけど、どうしても彼女を作る気にはなれなかった。
いいなと思う子もいたけど、セックスの終わりに思い浮かぶのは、いつも尚ちゃんだった。
ある日、家でひとりで抜いていたら、ふと、尚ちゃんの裸が頭に浮かんだ。
そしたらなぜか、めちゃくちゃ興奮して、あっという間にイッた。
訳が分からなくて呆然としつつ、何だったのか確かめたくて、同じ想像をして何度も抜いた。
毎日毎日同じようにしても、全然理由は分からなかった。
高校受験で、成績と生活態度が悪すぎたオレは、先生に『公立は無理だ』と言われた。
仕方なく、ノー勉強で入れそうな私立男子校を選んだ。
頭が良い尚ちゃんはトップ校に行くだろうし、もうこんな風に毎日遊ぶこともなくなるんだなと思うと、悲しかった。
そして、そのことをぼんやりと伝えたら、翌日尚ちゃんは、進路希望を変更した。
職員室が揺れに揺れたらしいけど、全員の大反対を押し切って、尚ちゃんはオレと同じ高校を受けた。
高校に入ってからは、全員バカの環境で、ぬるく過ごしていた。
あちこちで毎日喧嘩が起きていて、やれ誰が強いだの誰が偉いだのやっているのを、めんどくさそうだと思いながら眺めていた。
尚ちゃんは授業が余裕すぎて暇だったらしく、ずーっとオレとだらだらしゃべっていた。
この学校には派閥争いがあるということが、割とすぐにわかった。
でも、尚ちゃんはそれを、『むさ苦しい男がつるんでバカの極み』と言っていて、オレたちは、どこの派閥とか頭は誰だとかに全く興味を持てなかった。
もちろん、『生意気だ』と言って目をつけられたりもしたけど、普通にふたりで返り討ちにしていたので、面倒な人間関係は避けて、無難に暮らしていた。
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