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 選択肢の中では、いちばん良かったと思う。  好きになるとか、欲しいとか、長いことかかってしまうような願いを聞くよりは、ひと晩で叶えてあげた方がいい。  ベッドの上にぼーっと座っていたら、シャワーを浴び終えた礼央が、静かにやってきた――名前で呼んで欲しいという願いも叶えることにした。 「礼央、おいで」  緊張の面持ちでこくりとうなずき、ベッドに上がってくる。  手でするだけでいいと言ったので、バックハグのようにして、足を開いた。  既に半勃ちのペニスを、そっと握る。 「……っ」 「大丈夫? びっくりさせちゃった?」  黙ってふるふると首を横に振った。  女の子だったらたまらないような、恥ずかしがりっぷり。  でも、骨格も華奢で中性的なので、あまり違和感はない。 「こうして欲しいとか、あったら言ってね」 「ん、……はい」  少し擦っただけなのに、もう息が弾んでいる。 「はあ、ん、……はあ」  礼央は、シーツを握ろうとして掴めなくて、何度も何度も左手でもどかしそうに開閉している。  そっと手を握ってやったら、ペニスがひくっと反応した。 「ん、……やっぱり昌也さんは、相手に合わせて優しくする……」 「そんな泣きそうな声で言わないで?」 「ぁあ、昌也さん……っ、はあ、」  時折、背をそらすようにしていて、何が欲しくて物足りないのか、分かってしまう。 「ここ? いい?」  乳首の周りをすすっと触ったら、ビクッと体を震わせた。 「ん、ん……してください」  先っぽをちょんとつまんで、くにくにと擦り上げたら、か細い嬌声を上げた。 「あ、ぁ、あ……ん、はあっ、それきもちいい」  きつめにつまんだり、コリコリしたり、ピンと弾いたり。 「あ、ぅあ……、きもちい、んっ、はあ」 「こっちは? どうしたらいい?」  張り詰めたペニスは、上下するたびにゴリゴリと音を立てるようだ。 「あぅ、ん、はあっ、……あ、あっ」  口を半開きにし、物欲しそうにほんのちょっと舌を出す礼央は、妖艶だ。 「昌也さん……キスは? キスはダメ?」  どうしようかと、一瞬悩む。  してしまったら、もっと気持ちが膨らんで、この子の為にならない気がする。  でも、すごくして欲しそうにしていて、また、空いた左手でシーツを引っ掻いている。 「はあ、ん、んっ……やっぱいい、がまんする」  きゅっと口を結んだ。 「いいよ。キス、してあげるから。少しこっち向いて?」  切なげな表情の礼央に、やわらかくキスをする。  顔を離すと、目をとろんとさせて、呼吸を乱していた。  優しくされたい、優しい言葉をかけて欲しい……そんな風に見えたので、静かにささやいてみた。 「可愛いね。礼央」  なぜか、心臓がドキンと鳴った。  ……あれ?  言って欲しそうだったから、言ったつもりだった。  なのに。口に出したら。 「礼央。可愛い」 「ん、……っん、きもちいいです」 「可愛い。いっぱい感じてる?」  乳首をつまんだら、ビクッと体が跳ねた。  ひとたび言葉に出してみたら、反応が、本当に可愛くて仕方がない。  ああ、言霊か……とぼんやり考えつつ、口からは自然と言葉がこぼれていく。 「可愛いよ。気持ちいいんだね」  礼央は、悶えるように身をよじる。 「はあ、は……ん、はぁっ、だめ」 「ごめん、やなことした?」  ぱっと手を止めたら、礼央はきつく目を閉じて、ふるふると首を横に振った。 「可愛いって、言わないでください。好きになっちゃう」  耳まで真っ赤だ。  可愛いと思うのは本当なのだけど、本人がそう言うなら、言わないでおく方が礼央のためになるだろうか。 「ごめんね、つい。続きしていい?」  泣きそうな顔で、こくりとうなずく。  またしごき始めたら、息が上がってきた。 「はあ、ん、んっ、ん……っ、はぁ」  ぐっと背中を反らしたと思ったら、ずるっとそのまま体の力が抜けて、全身でもたれかかってきた。 「あのね、礼央。ごめん。やっぱり可愛いよ」  体の向きを少しずらして、キスをする。 「ん……」  俺自身も興奮してきてしまって、礼央も多分、それは分かっている――背中に俺の固いものを感じているはずだから。 「ぁあ、昌也さん、はあっ……、おしり、欲しい、です。ダメ?」 「できるものあるの?」  真っ赤な顔をしてこくこくとうなずく。 「でも、一旦イッてからにしようか。礼央が俺の手で気持ちよくなってるところ、見たいから。いい?」 「ん、」  スピードをつけて擦りながら、乳首をくにくにといじめる。 「ぁん、ん、はぁっ、イッちゃう……ちんちんも乳首もきもちくて、……んはぁっ」 「強い方がいいの?」  ぎゅっと力を込めてしごき上げ、乳首を何度もピンピンと弾いたら、背を弓なりに外らせた。 「ぁあっ……ッ、昌也さん、す……、」 「何?」  ぎゅっと目をつぶり、ふるふると首を横に振る。  何を言いたいかは分かって、でも我慢しようとしている礼央の気持ちをどうしたらいいのか、分からない。  礼央が余計なことを考えなくて済むよう、両脚をぐっと開かせて自分の脚で固定し、ペニスをゴリゴリとしごいた。 「恥ずかしい格好してるの、エッチで可愛いよ」 「ぁあっ、はずかし、ん……っはぁっ、」  反応の良いところを、しつこく攻める。 「ぁあああッ、も、だめぇ、イッちゃう……っ」 「いいよ。礼央、イッて」 「あ、ああっ、イッ……ぁああっ!…………ッ……!……ッ」  何度も体をビクつかせて、熱を放った。

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