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 早く戻ってきて欲しい……苦しい。  そう思っていたら、広田さんが戻ってきた。  そして部屋に鍵をかけ、ジャケットを脱ぎ、ワイシャツの袖をまくる。 「これは勃起といいまして、生理現象のひとつです。ちゃんと終わらせる方法がありますので、ご安心ください」  そう言って広田さんは、ベッドの縁に腰掛けた――使用人がベッドに座ったことなんてないから、びっくりしてしまった。  広田さんは足を開いて、その間をぽんぽんと叩く。 「こちらにおかけください」  いすに座るみたいに、腰掛ける。  広田さんは僕の背中にぴったりくっついて、耳元で優しく説明してくれた。 「この状態で、触ったことはありますか?」 「はい。触ってみたらなんか……き、きもちよくて。でも怖いからすぐ離すようにしてます」 「なるほど。触っても怖くないですから大丈夫ですよ。下着を下ろしてしまいましょうか」  脱いで、勃起したちんちんを空気にさらす。 「パツパツですね。苦しくありませんか?」 「……はい、かなり。きついです」 「握ってみましょうか」  僕がそろっと握ると、広田さんはその上から包み込むような感じで手を添えてくれた。 「いきますよ」  広田さんが、僕のちんちんを上下するように擦る。 「ぅわ……」  自分でするのと、全然違う。 「他の者には、弘太郎様の部屋に近づかないよう言ってありますから、声が出てしまっても我慢しなくていいですからね」 「ん、はぁ……っ」  コスコスと、一定のリズムをつけて上下する。 「……ぁ、はあ、ひろたさん、んっ」 「強すぎるとか弱すぎるとか、あったら教えてくださいね」 「ん、んっ、怖い」 「大丈夫」  耳元でささやかれて、ゾクっとする。 「ぁ……、ど、どうなっちゃうんですかこれ、ぁ……」 「すごく気持ちよくなって、終わります」  怖くなって、思わず手を離した。  すると広田さんは、直接僕のちんちんに触れて、同じように擦ってきた。 「ぁ、やだ……っ、ん、」 「最後までしないと苦しいままですよ」  両腕を押さえられて、身動きが取れないまま、ちんちんを刺激される。  これ以上気持ちよくなっちゃったら、変になりそう。 「ん、もう離して、やだ、ちんちん変になっちゃう」 「全然、おかしなことではありませんよ。ほら、私の手の動きを感じてください」 「ぁあ、あ……ッ」  素早く擦られて、気持ちよさで目の前がチカチカしてくる。  足を閉じようとしたら、両足でがっちりホールドされてしまって、体が反るみたいになった。  カクテルのシェイカーを振るみたいにスピードをつけて擦られたら、ちんちんの先から透明な汁がこぼれた。 「ぁ、あ……っ、や、漏らしちゃう」 「大丈夫。尿ではありませんよ」  心拍数がどんどん上がってきて、呼吸も浅くて、顔も熱い。 「はぁっ、は……ん、んっ、ぁあッ、あ」  いつもなら、とっくに手を離している。  でも広田さんはやめてくれなくて、どんどん気持ちよくなっていく。 「弘太郎様、そろそろ終わりますよ」 「ど、どうやって……? ぁあっ」 「自然に、リラックス。怖くないから」  広田さんはいつも優しいけど、こんな風に本当のお兄ちゃんみたいに甘やかしてくれるのは初めてで…… 「ぅあ、ぁあっ、はぁっ……ぁあッ、」 「怖くない、怖くない。ほら。気持ちいいこと好きだなって、思ってみて?」 「……ぁあッ、や、ぁあ……っ!……ッ!…………!」  全身がピンッとこわばって、いままで感じたことがないような気持ちよさの波がどっと押し寄せて……そして、ちんちんから白い液体がたくさん出た。 「ぁッ……ぁ…………、はあっ、」  広田さんが手の動きを少しずつゆるめて、俺もくたっと力が抜けた。 「これが射精です。ほら、射精したらちゃんとおさまりましたよ」  ぼーっとしたまま自分の股間を見たら、お腹や床に白い液がいっぱいついていて、でも、ちんちんはおさまっていた。 「……この白いのなんですか?」 「精液です。これの行き場がないせいで、こういう風に勃起するのです。でもこうして出してあげれば大丈夫ですよ」 「こんなこと、毎回してたら死んじゃう。みんなやってるんですか?」  広田さんは、耳元に口を近づけて、そっと言った。 「はい、みんなしますよ。それに、もっとすごいことも」 「すごいこと……?」 「ええ。それは、綾子様とのご成婚の際に、お教えします」  綾子さんは、僕の婚約相手だ。  ちょっと広田さんの顔を見たら、なんだか悲しそうな顔をしていた。

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