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 ワンピース型の病院着に着替え、ベッドに腰掛ける。  ふたりくらい余裕で眠れそうな広いベッド。  頭側には大きな機械やボタンがあり、天井から酸素マスクがぶら下がっていたりと、精密機器が揃う特殊な病室みたいな感じだ。  緋室さんは、コップと薬を持ってこちらにやってきた。 「それではこちらをお飲みください」 「はい」  緊張気味に、白い錠剤を受け取る。  ぱくっと口に入れると、無味無臭だった。  そのまま水で流し込む。  口を開くよう言われたのであーんと開けると、緋室さんは飲み込んだのを確認し、腕時計を見た。 「17:02、実験を開始します。横になって、楽にしていてください。隣で見ておりますので、気分が悪くなったり何かありましたら、遠慮なさらずにおっしゃってくださいね」  緋室さんはゆっくりと頭を下げ、ガラスの向こうの部屋へ。  防音扉のような頑丈なドアが締めると、ガチャンと音がした。  施錠されたらしい。  見られているというのは居心地の悪いものだが、それが仕事なので、仕方がない。  ベッドに横たわり、目をつぶる。  チラッとガラスの向こうを見ると、緋室さんは、忙しそうに何かに記入をしていた。  暇なので、夏休みに何をしようかと考える。  何せ、2日で8万だ。  ちょっとした旅行にも行けるし、普通の部屋に移ったら、どこがいいか調べよう。  もしかしたら海外もありえるかも知れない。  そんなことを考えて、10分ほど経ったところで、体に異変が起き始めた。  やたらに暑い。息が苦しくて、呼吸が浅くなっていく。  緋室さんに知らせるべく起き上がろうとするも、体に力が入らない。 「ぁ……、」  上擦った声を漏らしながら、なんとか首だけ緋室さんの方へ向ける。  異常に気づいたらしい緋室さんは、そばにあったマイクを掴んだ。 『大丈夫ですか?』 「……、ぁ、あっ……」  うまく口が動かせず、言葉にならない。  緋室さんは、俺の様子を目視で確認したあと、手元のパネルを操作した。  途端、ベッドの柵部分から出てきた輪のようなものに、手足を拘束される。  何だ? 何をしている……?  回らない頭でパニックになりながら、手足を動かそうとするけれど、どうにもならない。  体はどんどん熱くなり、息切れが激しくなっている。  長時間マラソンをしているみたいな感覚。とにかく苦しい。 「ひ、ひぅぉさ……っ」  やっとのことで出た声に、愕然とする。  聞いたことのないような甘ったるい声。  自分が発したとは信じがたい……まるで、女の喘ぎ声みたいな。 「ぁ、んっ……、ん」  必死に訴えると、緋室さんは、眉をひそめてマイクを手に取った。 『遠隔で診察します』  頭側にあったアームが伸びて、俺のパジャマのボタンをひとつひとつ外していく。  全てはだけたと思ったら、パンツまで脱がされた。 「んンッ」  パンツが引っかかって気づいたが……完全に勃起している。  空気にさらされたら、それだけでうずいた。 『苦しいかも知れませんが、なるべくゆっくり、吸って吐いてを繰り返してください』  必死で深呼吸をする間に、別のアームが伸びてきた。  上半身にドロっとした液体をかけられたと思ったら、ローラーのようなもので上半身のあちこちをくまなくなでられる。 「ぁ、あっ……んっ」  コロコロと、ろっ骨の上を行き来するその感覚で、身悶える。  お腹のやわらかいところが押されて体がこわばり、乳首の上を潰すみたいに何度も往復されたら、ビクビクと体が跳ねた。 「んぁっ、あ……ッ、やら、ぁあっ」  刺激されて、身を固くする。しかし、すぐに脱力して、動けなくなる。  その繰り返しで徐々に気力が削がれ、正気が保てなくなってきた。  途端、目が冴える。  感覚が過剰なくらい研ぎ澄まされて、少しの刺激でも電流が走ったみたいに感じてしまう。 「ぁああっ、ぁ……きもちぃ……ッ、たすけてっ」  すがる思いで緋室さんを見ると、舌なめずりをしてにんまりと笑っていた。

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