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少し気を緩めたのと同時に、急に、抗えない生理現象が湧き上がってきた。
最後にトイレに行ったのが昼休みだから、7時間以上はしていない気がする。
危険はなさそうだとはいえ、このバリケードを出てトイレに行くというのは、ややリスキー。
かといってここでするわけにもいかないし。
何気なく会話しつつ、10分ほど耐えた。
もじもじしつつ足を擦り合わせて、おしっこのことは考えないようにする。
でも、そろそろ限界。
ちょっとでも動いたら、そのまま漏らしてしまいそう。
股間を押さえながら細く息を吐いていると、ついに、先輩に気づかれてしまった。
「小平、トイレ行きたい?」
「……すいません、実は、我慢してたんですけど」
「ちょっと待ってな」
先輩は掃除ロッカーからバケツを取り出した。
「そこですればいいよ」
「えっ……」
恥ずかしすぎる。
おしっこするところを見られるなんて。
でももう限界だ。
ジャージを下ろそうとするものの、ちょっとでも腰を浮かせば漏れてしまいそうで、うまくいかない。
「ん、んっ、漏れちゃぅ、……っ」
先輩は僕の目の前にバケツを持ってきて、両手で持って、こちらに傾けてくれた。
「ほら」
「あ、ぁ……っ、あ」
パンツを下ろすと同時に、勢いよくおしっこが出る。
「あ、あぁ……っ」
ジョロロロロと勢いを保ったまま出続けるのを、とんでもなく恥ずかしく思いながら見つめる。
「と、止まんな……、」
「我慢してたんだな」
「見ないで」
気持ち良さで、体がふるりと震える。
比べてはいけないのかもしれないけれど、射精と同じくらい気持ちいい。
先輩は、そんな僕の様子に目ざとく気づき、僕のペニスを見ながら言った。
「小平、ションベン出すの、きもちい?」
答えられず、目をつぶってふるふると首を横に振る。
最後の一滴まで出ると、……なぜか僕は半勃ちだった。
「可愛い。気持ちよかったんだ」
先輩はバケツを端に避けると、そのまま僕のペニスに触れてきた。
「ん、やだ」
「嫌? 先っぽから漏れてんの、おしっこじゃねえように見えるけどな」
「ふ、んぅ、恥ずかしい……っ」
「俺も興奮してた、小平のちんこ見て。ほら」
先輩がベルトをくつろげズボンを下ろすと、僕のものより一回り大きいものがゆるく立ち上がっていた。
それを見て、僕のペニスが完全に勃起する。
「ほら、なんか、ねっとりしてんの垂れてる」
「ごめんなさい……っ。おしっこするとこ見られて、エッチな気持ちになっちゃいました。先輩のちんちんも、勃ってるの見て、余計興奮しちゃって、」
先輩はふたり分のペニスを握って、同時に擦り始めた。
「ぁ、あっ、……はぁっ、」
「やべ……きもちぃ」
命の危険が去って、非現実的な感じで、よく分からなくなっていた。
キスしながらしごかれて、どんどん昂 ってくる。
自分が、性的な刺激を気持ち良く感じられることに、驚いた。
生き延びたのだという実感で、胸が満たされる。
「は、ぁっ、……ん、い、イッちゃぅ……っ」
「うん、いいよ、見して」
「ぁ、あ、やだ、イクッ、ん、ぁあッ……!…………っ!……ッ」
先輩の大きな手に、僕の精液がドロドロと流れる。
先輩のペニスも脈打ってこぼれ出し、僕の精液と混ざる。
ふたりともイッたはずなのに、全然萎えない。
「ごめん、挿れていい? お前とセックスしたい」
もしかしたら、この学校を出たら街がゾンビであふれているかもしれない。
あるいは、ずっと出られなくて、このまま飢えて死ぬかも。
もう幾ばくもない命かもしれないのなら、早く先輩と繋がって、1秒でも長く幸せな気持ちを味わいたいと思った。
「挿れてください。僕の体の中、触って欲しいです」
生身の、人間のままでいられた僕の体の奥を、突いて欲しい。
ジャージを脱ぎ四つん這いになると、先輩は、僕たちの精液でお尻を濡らしてくれた。
そして、ゆっくりと僕の全身を抱きしめながら、ぐぐっと入ってきて……。
「……キツ。だいじょぶ? 苦しいか?」
「ん、…………くるし、ふ、ぅ、」
長く息を吐く。
先輩は頭を撫でながら、ゆっくりゆっくり入ってきてくれた。
苦しいけれど、もっと深くまで挿れて欲しい。
涙がぼろぼろとこぼれてくる。
先輩が僕の中で感じていて、息づかいや鼓動が聞こえるから、僕も生きているのだと分かるから。
もちろん、好きだと思えるひとに出会ったという、素直なうれしさとかもある。
終わったかもしれない世界で、いま、ふたりは繋がっている。
耳元で何度も何度も「好きだ」と囁いてくれる先輩の、湿った吐息。
床についた僕の手に、先輩の骨張った大きな手が重ねられた、そのぬくもり。
現実のかけらをかき集めてかき集めると、僕らはまだ生きているのだと、証明になる気がする。
「あっ、ん……ッ、ふぁ、っ、気持ちいいっ、奥トントンするの、んぅ」
「これ好き?」
「ンッ、すき、すきっ、はぁ、ふ……、ぅんっ」
「腰揺れてる」
パチュンパチュンと、肌がぶつかる音がする。
僕は背を反らして、女の子みたいに声を上げしまう。
「はぁっ、は、あぁ……ッんぁ、あ、」
「ちんこも触る」
「んんッ、はあ……っ、ぁ、はっ、あンッ」
「やべ、イキそ、く……」
「僕もっ、もぉイッちゃぅ、イッちゃいます」
脳が焼き切れそうなほど気持ちいい。
先輩も呼吸を荒げていて、ときどきうめき声も入っている。
僕は背を反らした。
「ぁっ、も、イクッ、だめ、あぁああっ、イッちゃう、……ッ、んああぁぁああ…………ッ!」
「……っ、小平、……ッ」
僕はビュルルルッと派手に精液を飛ばし、先輩も、僕のお腹の中にたくさん射精してくれた。
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