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「はぁっ、アーヴィンさまぁっ、あぁ……っ!」  僕は、何度目か分からない絶頂を迎えた。  シーツは欲液でびしょびしょに濡れている。  アーヴィンさまは袖まくりをしてまで僕の行為を手伝ってくださり、その御手をずいぶんと汚してしまった。  祭服をはたきながら、アーヴィンさまは真面目な顔で、こうおっしゃった。 「ロイ。主は全てを見通されています。君の知らない場所に、本当の欲望があることも」 「知らない、場所……?」 「この中ですよ」  触れられたのは、お尻の穴だった。 「あ、アーヴィンさま。そんなところ、汚いです」 「聖水で中を清めましょう」  アーヴィンさまは、寝台の横にある戸棚から小瓶を取り出した。  あれは、神聖な儀式で使われるものだ。 「修道士になるのですから、(けが)れた体のままではいけません」 「どうすればいいのですか……?」 「寝転んだまま、両足を自分で抱えて見せなさい」 「え……っ、」  こんなにはしたない姿をさらしてなお、また恥ずかしい格好をしないといけないなんて。  そう思いかけたけれど、僕はすぐにその考えをやめた。  これは、司教さまが御手を汚してまで執り行ってくださる、神聖な儀式だ。  辱めだなんて、考えてはいけない。  僕は太ももを抱え、脚を大きく開いた。  アーヴィンさまは、僕の秘部をまじまじとご覧になりながら、聖水を手の中に出している。  とろりとしたハチミツのような、琥珀色の液体。  あれが、僕のお尻の中に、入れられるのだろうか……? 「暴れてはいけませんよ」 「はい」  アーヴィンさまの指が、お尻の中にするりと挿しこまれる。  出し入れするたびにくちゅくちゅと音を立てていて、僕のペニスはまた、勃ち上がってしまった。 「ぁ、あ……っ、アーヴィンさまぁっ、変、へんです、ぁあっ」 「何がです?」 「おしりなのに、汚いのに……っ、きもちくて、んぅっ」 「それは体の中に欲望があるからです。でも、大丈夫ですよ」  やっぱり、アーヴィンさまはお優しい。  僕はいつも失敗ばかりで、周りに迷惑をかけどおしだったけれど、アーヴィンさまはいつも、にこやかに見守ってくださっていた。  だから、こんなダメな僕の、こんな……。 「あっ、あ、広げちゃ……っ、あ」 「否定してはいけません」 「あぅぅ……ごめんなさい、んんっ」 「たくさん慣らさないと、入りませんから」  入る? 何が……?  聞きたいけれど、聞けない。  神や司教さまのお導きに、疑問なんか抱いてはいけないのだ。 「……さあ、もういいでしょう」  アーヴィンさまは指を引き抜くと、祭服をたくし上げた。  下着は身につけておらず、僕のものより大きいそれが、固く反り上がっていた。 「アーヴィンさま……?」 「これは主の教えです。力を持つものは、弱き者に与える。人は糧が無ければ生きてはいけません。ですから、私は君に与えます。ロイ、いいですね?」 「は、はい……」  僕が返事をすると、アーヴィンさまは僕のひざの裏を掴んで、ひっくり返りそうなほど持ち上げた。  主の彫像に、僕の汚い場所がさらされてしまう。  恥ずかしさでぎゅっと目をつむると、涙がこぼれた。 「力を抜いて」  アーヴィンさまはそうつぶやくと……。 「あ、ああっ、あ……っ」  僕のお尻に、アーヴィンさまの太いペニスが。  苦しい。痛い。苦しい。もうやめたい。  うっすら目を開けると、アーヴィンさまのお優しい顔が歪んでいた。  僕のためにこんなふうに身を呈してくださっているのに、なんておこがましいことを考えてしまったのだろう。 「ぁあ、アーヴィンさま、」 「苦しいのでしょう? 分かっています」 「はぁっ、…………ぁ、ぅ。ごめんなさい、……っ、んぅ、ぼく、我慢します……っ」  アーヴィンさまのものの全てが、僕の体の中に入った。 「……偉いですね。私は、君の成長をずっと見守っていました。だから、いまこうして立派に儀式に臨んでいる姿を見るのは、誇らしいです。そして、私がそれを手伝うことができるのは……光栄なことですね」  眉間にしわを寄せながらも微笑まれるその表情は、とても美しかった。 「……アーヴィンさま」 「動きますよ」  アーヴィンさまが腰を引くと、お腹の中で、熱いものがずるりと擦れた。  パンッと打つように勢いよく奥を突かれ、僕はあられもない声を上げた。 「ああっ!」 「ロイ。どうして? 大人になって、神の道を歩まなければならないのに、神聖な儀式でこんな風になって」 「……っ、ああっ、んっ、はあっ」 「質問に答えなさい」 「き、きもちぃ……れす。ぁぅ、アーヴィンさまっ、あぁんっ」  さっきまで、あんなに苦しかったのに。  気持ちよくて、大きな声を出してしまうのが止まらない。  神様はこんな僕を、どうお思いだろうか。 「あんっ、あっ、…………っ、あぁっ」 「主は全てをご存じです。だから、ちゃんと分かっているのですよ」  アーヴィンさまは、激しく腰を振るのをやめないまま、僕の耳元で低くささやいた。 「本当は、もっと破廉恥な子でしょう? ロイは」 「ああっ、あんっ、……ごめんなさ、……あっ、きもちぃ、んぅっ」 「ほら、言いなさい。自分が淫らだと」 「はあっ、ぁあっ……、僕はふしだらな悪い子です。ごめんなさぃ、儀式なのに……っ、んぅっ」  触られてもいないのに、ペニスが固くなっていくのが分かる。  このままでは、また。 「あっ、アーヴィンさま……っ、出ちゃぃます、ああっ」 「それはいけませんね。中を清める行為で欲を深めてしまうなんて」 「はあっ、……がまん、できな……っ、」 「いけない子にはお仕置きです」  平手でお尻を打たれた。 「ひぁっ! あぁっ」 「なぜですか? 叩かれて、先っぽから蜜がこぼれていますよ」  奥を激しく突かれながら、二度、三度、お尻を叩かれる。  僕は絶叫して、欲液を撒き散らしてしまった。 「あああぁぁああ…………ッ!!」  びゅくびゅくと、熱いものがお腹や胸に飛んでくる。  目を開けると、アーヴィンさまは、見たこともないような表情で僕を見下ろしていた。 「……ロイがこんなに肉欲にまみれていたとは」 「ごめんなさいっ、アーヴィンさま、失望させてしまって……」 「もっと強いお仕置きが必要ですね」  ペニスがずるりと引き抜かれた。  僕はぐったりと肢体を投げ出してしまった。  アーヴィンさまは、力の入らない僕の体を無理やり抱き起こして言った。 「四つん這いになりなさい」  その声は冷たかった。

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