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第2話

「黒ってあんまり蜜のイメージじゃないな~」 それをさらっと悪気なく言えちゃうのが百なんだよなぁ。 「カッコいいけど、蜜はシルバーとかピンクゴールドって感じ」 「百、余計なこと言うな。だから百は先輩と仲が悪いんだぞ。それに、先輩は『俺の』って印で贈ってるんだろうし」 「俺は先輩の大事なお姫様のために言うのに。誕生日はお姫様の好みの物贈らなきゃ」 「お姫様よりは女王様だな」 「千歳、うるさいよ」 「蜜も先輩の前ではお姫様って感じに振る舞ってるもんな。疲れない?」 そうなんだよね。 俺にはひとつ年上の彼氏がいて、まぁ何て言うか…女の子もやる子いるでしょ? 猫を被るとゆーか…ちょっと可愛く振る舞ってしまうと言うか…そういうの。 「…だってさぁ、俺って超絶ワガママじゃん?」 「「うん」」 ふたりして即答か。 「でも香月さんはさー、控えめな感じのがタイプだしー、仕方ないじゃん」 「女子に夢見てるタイプだよな」 「こら、百」 「でも好みに合わせちゃう蜜とか健気過ぎて………別人? とか思う」 「うるさいんだけど」 好きな人のためなら健気にもなれるんだよ俺は。 って思ってる時点で既に健気じゃな~い? 「蜜って、相手が先輩じゃなきゃ、俺と付き合えてんだから光栄だと思いなよ、くらい言いそうだもんな」 「………否定はできない」 「千歳」 いや、俺も否定は………できない。 くそ。 「まぁでも実際、蜜の本質を理解して付き合える相手の方がいいとは思うけどな」 「…分かってるよ」 そっぽを向く俺の髪を、千歳が宥めるようにそっと撫でる。 きっといつか疲れてしまうかも知れないのは、自分でも分かっている。でも、超絶ワガママな俺を香月さんに知られるのはちょっと嫌だな、ってなるんだよね。 「でもさぁ、香月さんが俺を好きになってくれたきっかけがさぁ、そーゆーのなんだから仕方なくない? そーゆうイメージついちゃったんだってぇ」 「きっかけってアレっしょ? 体調悪いときに保健室で一緒になって、先生が不在だからって蜜がベッドの準備とかしてあげたやつ。普段の蜜なら、床で寝れば? とか言って放っとくのにな」 「さすがの俺も、38度超えてる人にそんなことできないわ」 まぁね、でもあの甲斐甲斐しい優しい俺に香月さんが惚れてくれたんだから、あれはあれで良かったんだよ。多分。

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