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第12話

「ねぇ待って! 俺ほんとに香月さんに好かれてるのかな!?」 千歳を見ると、「大丈夫だ」と言って俺の背中を優しく叩く。 「指輪贈ってもらったんだろう? どうでもいい相手にそういうものを贈れるほど器用な人じゃないから」 「千歳…」 何かいいこと言ってる雰囲気あるけど…香月さんのことさりげなくバカにしてる…? 「ま、俺は個人的には他の人の方がいいと思うけど」 百はそう言って、するりと俺の髪に指を通す。 俺が不満げに見上げると、小さく笑った。 分かってるよ。百は百なりに俺のこと心配してくれてるの。 「俺にいい案がある」 委員長がメガネのブリッジを押し上げながら口を開いた。 ところで、委員長は本物のクラス委員長なんじゃなくて、ただメガネをかけているからあだ名が委員長なだけ。 本物のクラス委員長は千歳だし。 「どうする? 蜜」 「発言をお許し頂けるだろうか」 「う~ん…許す」 とりあえず聞こう。 「では僭越ながら申し上げます、女王様」 委員長が恭しく胸に手を当てる。こういう真剣にふざけちゃうとこ結構好き。 「いつも相瀬から昼を誘ってるなら今日は誘わないでいたらどうだ?」 「えっ…何その地獄のような提案。これで香月さんから誘われなかったら傷つくの俺なんですけど」 「先輩から誘いがなくても他のやつから誘いはあるだろう」 「だから、香月さんじゃなきゃ意味がないの!」 「視野を広げるんだ。いつも、可愛いよ、好きだよ、って言ってくれて、相瀬のことを大事にしてくれそうな男なんて他にもいるだろう」 「……別れろってこと?」 「そうは言ってない」 委員長は首を振る。 「ただ、話を聞いてると、相瀬のことをしっかり理解する気があるか分からないな、と思って。本来の相瀬を知らずに、おとなしくて控えめで可愛いだけの存在を求めるって、自分が相手をコントロールしたいだけなんじゃないか? と勘繰ってしまう」 「えっ、それDVじゃん」 思わず突っ込んじゃったじゃん。 「あっ、これDVか? 別れろ! 相瀬!」 「ちょっと落ち着いてよ、委員長」 「まーでもさ、1回フラットな目で見てみたらぁ~? 付き合ってるから見えない部分ってあると思うしー、惚れた欲目っていうか? そぉゆうのもあるだろうしー、ってゆーかああいう堅物クンぐちゃぐちゃにすんの好きだから譲ってほし~」 「茅ヶ崎は口閉じて。不快。誰かあの口縫い付けてやって」 「茅ヶ崎、この愚か者が。シャラップだ」 「うっす、委員長」 

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