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Feel Blue
突如として香月さんの彼氏であることの自信を失くした可哀想な俺。
こういう時に効くのは、本来なら香月さんからの言葉、なんだけど。
…周りの言葉で色々思い返してみて、冷静な俺が「欲しい言葉をもらったのなんて告白の一度きりしかないのに?」って言っている。
俺が不安だと訴えても、多分言ってくれない気がする。言葉だけが全てじゃないけど、じゃあ態度はどうか、って聞かれたら…香月さんが見てるのは本当の俺じゃないから。
これはもう、ワガママな俺を知ってもらうしかないのか…?
そんなことをぐるぐる考えているうちに、時間はどんどん進んで昼休みになってしまった。
ってゆーかいっこ言っていい? 休み時間も香月さん来なかったし、昼休みになっても香月さん来ないんだけど。なにこれ、俺マジでどうでもいいいとか思われてんの? え、絶対許さない。
「今日香月さんからのコンタクト一切なかったら別れるかもしれない」
「蜜、そう結論を急ぐな」
千歳が宥めてくれるけど、俺の心はすさんでいた。指輪外す。何か腹立つ。
そもそもこういうワガママな俺が、相手の要望に応えるだけなんて無理。マジで無理。今までよく頑張ったよ、俺。
何で頑張れてたか分かる? 好きだからだよ! 好かれてると思ってたからだよ!!
でも香月さんが好きなのって…この天使のように可愛い外見だけなんじゃないの。
あり得ねぇ。
「ねー、百」
「どうした?」
「次に付き合うなら誰がいいかなぁ」
あ、爪乾燥してるかなぁ。やっぱオイル塗りたいな。あとでハンドクリーム塗ろう。
可愛い可愛いって言われるからさ、そのまま言われていたいし、こっちはそのために努力だってしてるわけで。それは全部自分のためなんだけど、それでも『可愛いね』は、その努力が報われた感じがするの。
ましてや好きな人に言われるのは特別だし。
なのにさー。それもないんだもん…。薄々気づいてはいたよ。見て見ぬふりしてただけ。
「いいなー、って思う相手いなかったのか?」
「いたけどさぁ、恋人をアクセサリーみたいに扱う男は嫌なんだよね」
「あぁ、なるほど」
可愛いだけの俺を欲しがる人ならもういらない。
ワガママ全部聞いてくれなくたっていいけど、ワガママな俺を受け止めてくれる人じゃなきゃ嫌。っていうのが既にワガママだよね。知ってる。
「でも蜜を見てるやつは見てるんだから、超絶ワガママなのも知ってて好きだって言うやつもいるんじゃん? ワガママ叶えたい男以外告白禁止令出したら?」
「それで誰も来なかったら凹むじゃん」
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