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第15話

「それはないと思うな」 百はそう言って俺の顔を見ると、にまりと笑った。 え、何それ。どういう意味? って俺の顔に書いてあったと思うけど、百はそれ以上は教えてくれなかった。千歳を見ても、千歳もただ微笑むだけだったし。 え、何これ。俺だけ知らないやつ? 学食へ向かう間、俺はひたすらはてなマークを飛ばしていたと思う。だけど両側では鼻歌歌い出しそうなくらい陽気な雰囲気があった。なぜ。 「蜜」 学食に着くと、千歳がドアを開けてくれる。 百が右腕を差し出してくれたので、俺は特に何も考えず、左手をそこへ。 こういう時に自然とこういう扱いしてくれるふたりが好き。 俺も男なんだけどね。 ちなみにクラスのみんなは「準備しとく!」って先に教室を出ていった。 「ねー、百」 可愛い俺と、育ちの良さが滲み出る美形な百と、穏やかで知的な雰囲気の男前な千歳が一緒にいると、自然と目を惹いてしまうのは仕方がないと思うんだよね。 俺だけ『可愛い』しかないって思っただろ。俺も思ったよ。可愛い以外につけるとしたら、『超絶ワガママ』しかないんだよ。それ、長所じゃないじゃん。仕方ないから『天使のように可愛い』に変えておいて。 「やっぱりクロワッサンサンドも食べたいな」 「野郎ども、クロワッサンサンド追加」 「直ちに!」 シュバッ、と席を立って行ってくれる優しい長井くん。ありがとう。 委員長が椅子を引いてくれて、俺はありがたく腰かける。 テーブルの上には、俺が朝言ったものがずらりと並んでいる。やばい。 「ありがとう。みんな大好き」 でもね、いくら超絶ワガママな俺でもちゃんとお礼は言うんだよ。嬉しいことをしてもらったら、笑顔でね。 「笑顔ひとつで報われる気持ちにさせる相瀬がすごいな」 「ふふん。もっと褒めてもいいよ?」 そんな俺の隣では、千歳が和定食を、百が大盛カツカレーを頼んでいる。 俺はみんなが用意してくれたものを食べたいだけつまむ。残りはみんな食べてくれるから。 「百、カレー1口ちょうだい」 「ほれ」 「蜜、だし巻きいるか?」 「食べる~。半分ちょーだい」 気まぐれに千歳や百におねだり。 みんなに大分甘やかしてもらって、機嫌が復活してきた。 「んで? 先輩のことはどーすんのぉ~?」 「なに、茅ヶ崎そんなに欲しいの? ってゆーかガムテープどこやったの? それも食べろよ」 「無理難題!!」

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