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第18話
「蜜」
「なに?」
「今日は俺の部屋来るか? バラ風呂セット届いてる。入るだろ?」
「入る!」
前に俺がバラ風呂いいなぁ~、って言ったから、百が取り寄せてくれたセット。もう届いたんだ!
「その後で千歳と3人でゲームするか」
「うん」
「じゃあ俺は蜜が好きなお茶持って行くかな。お菓子は月餅でいいか?」
「うん! 月餅好き~」
あぁ、ふたりはほんとに俺の甘やかし方を分かってる。付き合いが長いからっていうのもあると思うけど。
「ね~、笹山先輩は3人のそういう親密なの知ってるのぉ~?」
茅ヶ崎がもりもりパフェを食べながら聞いてくる。グラタン食べた後でよくそんな入るな。
「俺たちは基本、蜜の彼氏には遠慮してるからな。仲がいいくらいには思われてると思うけど」
「ふぅ~ん?」
千歳の返事に茅ヶ崎が首を傾げた。
「『彼氏には』ってことは、彼氏じゃなきゃ遠慮しない?」
「そうだな」
「当然」
千歳も百も、ちょっと楽しそうに頷いた。
「ふぅ~ん。笹山先輩は不合格ってことかぁ~」
「どうかな」
「違うのぉ?」
「今後の言動と…蜜の気持ち次第、かな」
千歳の返事に、茅ヶ崎がまた首を傾げた。
「女王様めちゃめちゃ凹んでたじゃん。あれが盛り返すことってあるのぉ?」
「今ならまだ間に合うと思うけどな~。くっだらねぇプライドとかあったら無理かもなぁ~」
百が何でかわざとらしく声を大きくした。
誰かに聞かせるみたいにしてどうしたの?
「全員食べ終わったな」
千歳がテーブルをぐるりと見回す。
俺が気まぐれにつまんで残したごはんたちは、すべてきれいにみんなの腹の中におさまっていた。ってか茅ヶ崎もいつの間にかパフェ食べ終わってる。はやい。
今さらだけど、クラス全員で集合してテーブル占拠してたからこれかなり目立ってたよね。まぁいっか。
「みんなありがとね」
もう一度お礼を口にすると、「僕は得したからまたやろぉね~」って茅ヶ崎が言って、みんなで笑った。
「茅ヶ崎が得するための会じゃねーんだけど」
「えぇ~、ひどくなぁい? そりゃあさぁ、女王様には劣るけどぉ~、僕だって可愛いじゃん」
「可愛いけど、茅ヶ崎は変態だからな」
「委員長ぉ、それって変態差別だよぉ~」
変態差別って何? っていうか、変態なのは否定しないんだ。
今日はごはんみんなに奢ってもらっちゃったから、何かお礼しようかな。
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