「とりあえず顔かな」 「顔…」 「んー、あとは優しいとこもあったけど…あれって俺が可愛くておとなしい面しか見せてなかったからだろうなぁ」 「こうやって他の男に横抱きにされたりする姿は見せてなかったもんな」 「まぁね」 だって見せる必要なかったし。 「…顔、で…お付き合いされたんですか？」 「んー、だってすごーく熱心にアプローチされたからね。付き合う前は」 あれはね、ほんとに熱心だった。 「その熱意に絆されたっていうか、まぁそんな感じ。で、好きなタイプの顔だったし？ あー、あとチャラそうじゃなかったから。それなら付き合ってみようかな、って」 「そ、そうだったんですね…」 「で、そっちはどこが好きなの？」 「えぇと…いつも、自分に自信があるところ…です」 「ふぅ～ん？」 なるほど。 「俺はとりあえず別れたつもりでいるし、もう関係ないと思ってるんだけど」 「でも、か…Ｋくんは未練があって、今朝もすごく凹んでたし…」 「知らないよ、そんなの」 「指輪返されたのだって…もうほんとに愕然としてて…」 「あのさぁ」 思わず不機嫌な声が出てしまった。 「だから何なの？ 俺はもう別れたんだから勝手にすればいいじゃん。何でわざわざそんな話しに来るの？ 俺に未練があろうがなかろうが、告白すればいいだけの話でしょ？ 関係ないって言ってるじゃん」 「っじ、自信が、ないんです…っ」 「そんなの俺に言われても困る」 「せ、せめてそばで観察とか…」 「朝顔じゃないんだけど」 「女王様だから朝顔じゃなくてバラではないかと…」 「植物どうでもいいって。とにかく、関係ないことに巻き込まないでくれる？」 好きなら好きで勝手にしてればいいのに。 「女王様に未練がある相手をすぐにどうこうは難しいからぁ～、ベタだけど、最初は振られてつらぁ～い気持ちを聞いてあげる戦法でいけばいいんじゃなぁい～？」 「茅ヶ崎の口からエロ以外の解決法が出るとは」 「ふふぅ～ん。見直したぁ？」 「ちょっとだけね」 人気のないところに呼び出して腕の自由奪うよりは建設的。 「で、でもっ、女王様のこと延々聞かされるのは僕にとってもキツいんですけど！？」 「甘いねぇ～。だって相手は健気なのが好きなんでしょぉ～？ 俺のこと好きなのにずっと元カレの話聞いててくれたんだ…！って感動すると思うよぉ～？ そしたら告白してうまく行くかもしれないじゃぁん」 うーん…ないとは言い切れない、かな？