「プレイは俺じゃないやつと楽しんでな。っていうか茅ヶ崎は焦らすの好きなんだから焦らされるのじゃ燃えないんじゃねぇの？」 「振られたぁ～。僕 焦らされるのも好きだよぉ？ 人によるけどぉ～。藤くんみたいなナチュラルなＳっ気あるいい男とは楽しみたいよねぇ～」 「ナチュラルなＳっ気とは」 うん、まぁ…百はＭじゃないもん。どっちかっていうとＳだもん。 俺以外にはね！ 「あげないって言ったじゃん」 「そうなんだよねぇ～。残念～」 「他で探してよ」 「そんな藤くんみたいな男がゴロゴロ転がってるわけないじゃぁん～」 「…女王様と藤棚くんたちはお付き合いしてるとかそういう、わけでは…？」 「え、」 あれ。そんな風に見える？ 「付き合っては…ないよ。ないよね？」 「ないな」 「ない」 思わずふたりを振り向くと、ふたりとも肯定の返事。だよね。 「そんな風に見える？」 「え、や、あの、距離が近いし…すごく親しい感じがするので…」 「まぁ幼馴染みだし。距離は何かもう…ね？」 「これが普通」 「そうだな」 ３人の『普通』ってこんな感じだよぉ～、って茅ヶ崎が言う。 「っていうか、それだったらやばくない？ ３人で付き合ってるとかにならない？」 「超贅沢ぅ～」 「いや何か…そういうのもアリなのかな、って気持ちに…」 なるんだ。そうか。 「まぁでも、一緒にいてすごく気持ちが楽なのは事実。居心地めちゃくちゃいい。よすぎてダメ人間になるよね」 「そのダメ人間をぐずぐずに甘やかすのが楽しいんだよな」 「困ったことにそうなんだよな」 「須賀谷くん絶対困ってないよねぇ～？」 茅ヶ崎に突っ込まれて千歳が笑う。 「ってか柳木くんこそ蜜のこと好きなんじゃねーの？」 「や、好きだなんて…おこがましい。そばでお姿を拝んでいられればそれで」 「無欲」 「茅ヶ崎と正反対だな」 「ちょっと須賀谷くん～？ それどういう意味ぃ～？」 言葉のままだと思うよ。 けど柳木くんって、手紙にも書いてあったけど付き合いたいとかじゃないんだもんな。それはそれで楽というか…。 「好きって言うか…愛でたい…？」 「あ～、分かるかもぉ」 「茅ヶ崎に言われると何でかちょっと怖いんだけど」 「えぇ～？ そんなことないよぉ～」 「ないなら舌なめずりしないで」 隣で柳木くんがぎょっとした表情浮かべてるよ。 「とりあえず服見ようよ」 そもそもの目的それだもん。