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第70話
千歳と百のを一口ずつもらっている俺を見て、茅ヶ崎が「僕のもいるぅ~?」って聞いてきたけど、何だか目が怖かったので貰わないでおいた。
しばらくぶらぶらしてみたけど、特に買うものもないからそろそろ帰ろうか、っていう流れに。
「柳木くん寮じゃないんだよな。今日はこれで。また明日な」
「あ、はいっ。また!」
「ばいばい」
柳木くんとは駅で別れ、俺たちはまた来た道を戻る。
「帰ったら課題やんなきゃ。やだなー」
「ヘッドスパとチーズケーキが待ってるぞ」
「頑張るね」
「女王様、今日も優雅だねぇ」
「ふふん。いいでしょ」
「ところでヘッドスパってお風呂でやるのぉ?」
「そうだけど?」
それがどうかした?みたいな感じで百が聞く。
「女王様は裸だよねぇ~? 藤くんもぉ?」
「おい、茅ヶ崎」
「ふ、ははっ。聞くのそれなのかよ」
「何を聞いてるんだ、茅ヶ崎は…」
ムッとした俺に、からから笑う百。そして呆れる千歳。
「だって気になるじゃぁ~ん」
「頭からエロ追い出してくれるかな?」
「それは難しいよぉ~」
ほんとに難しそうな顔するな。なに、そんなにエロ追い出すのって難しいことなの?
「ねぇ~女王様の乳首ってやっぱピンク、」
「茅ヶ崎、くだらないこと聞いたら洗濯ばさみで乳首挟むからね」
「あいたたぁ~、それ芸人さんじゃぁん~」
想像したのか、茅ヶ崎が手で乳首を隠した。いや、既に服で隠れてるけど。
「女王様のことは内緒」
百がにんまり笑って内緒のポーズ。
「藤くん、美形なのに可愛いって卑怯~。ってか今のポーズちょっとエロチックだからずるぅいぃ~」
「茅ヶ崎は蜜を狙ってるのか百を狙ってるのかどっちなんだ?」
「んん~悩むねぇ~」
「狙ってくれなくていいから」
「女王様つめたぁい~」
「それもまた好きなくせに」
「あれぇ~? バレてるぅ~?」
茅ヶ崎はなぁ、ちょっと読めないんだよな。
まぁいいけど。
抱きたいとかも本気じゃない…と、思うし…。
「っていうかぁ、ヘッドスパって家でできるのぉ~?」
「オイルと炭酸水があればできるぞ」
「へぇ~! そうなんだぁ!」
そうなんだ。
やってもらうだけだから知らなかった。
今日の夜も楽しみがあってご機嫌の俺は、めんどくさいややこしいことが頭からするっと抜け落ちていたのでした。
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