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第75話
「絶対バレないように連絡取りたいんだけど、もちろん協力してくれるよね?」
「え、あ、か…Kくんにバレないように、ですよね…? えっと、あの、中矢くんのLINE知ってるので…」
そう言いながらスマホを取り出すその人。
いい加減名前覚えないと不便だな。
「っていうか、名前何さん?」
「あ、芝木です」
「中矢先輩とすぐ連絡とれる?」
「メッセージ送ってみます!」
自分で言っといてなんだけど、こんな簡単に俺の言うこと聞いていいのかな、芝木さん。
「あ、中矢くん朝は図書当番だから図書室来てもらえれば、って返事が…」
「絶対バレないようにしたいって送ってくれた?」
「もちろんです!」
めっちゃ誇らしげ。
「ありがと」
でもまぁ、中矢先輩の連絡先知らなかったし助かったのは事実だもん。
これで安心してごはん食べられる。
しばらくご機嫌でごはんを食べてた俺だけど、何でかな。芝木さん(今度はちゃんと名前覚えた!)の視線をやけに感じるのは。
こっち見てないで自分の食べなよ。それとも俺がグリルチキンひとつ取ったの怒ってるとか?
「あのさぁ」
「ひぇっ!? はい!?」
芝木さんに声をかけたのは俺じゃなく百だった。
百も千歳も、もう食べ終わって話したりしてる。
「食べねーの? ずっと蜜見てるけど」
それ俺も聞きたかったこと!
「あっ…何か…その、唇に目が行ってしまって…」
「茅ヶ崎と一緒じゃん」
「百…不吉なこと言わないで」
「もぉ~、不吉ってひどくなぁい~?」
「出た」
「須賀谷くん、そんなお化けみたいに言わないでぇ~」
茅ヶ崎が出た。
「僕は気持ち分かるよぉ~。女王様の唇ちょっとえっちだよねぇ~」
「ねぇ食堂! まだ食べてるんだけど!」
「あ…っ、そう! そうなんだよっ」
「同意しない!」
「ぷるぷるで可愛いよねぇ~。んで、つやつやでちょっとえっち」
「茅ヶ崎 黙って」
「ミッフィーちゃん~」
千歳が呆れた顔してるよ。
茅ヶ崎は茅ヶ崎だな、って思われてるんじゃないの?
「茅ヶ崎はほんとに茅ヶ崎だな…」
ほらね?
「え、須賀谷くん、それどういう意味? ねぇねぇ」
「はぁ…茅ヶ崎は茅ヶ崎だな」
「ねぇってばぁ~!」
「茅ヶ崎、千歳に遊ばれてんぞ」
「須賀谷くんくらいのいい男になら遊ばれてもいいよぉ~」
ウインクすな。
「千歳もやらないからね」
「知ってたぁ~。もうこれは僕が女王様のものになるしかないかな、って思ってるぅ~」
「舌なめずりしながら言うのやめて。マジで」
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