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第83話
決戦は放課後。
決戦ではないかもしれないけど、気分はそんな感じ。
先輩と別れて教室へ向かう。
どこで話しようか、なんて話しながら歩いていると、委員長の姿を発見した。
「委員長おはよー」
「おぉ、女王様。今朝はご機嫌麗しいか?」
「普通に呼んでくれていいんだけど」
「いや、何かしっくり来てしまって」
「しっくり来てるかなぁ?」
もう今さらいいけどさ。
「と言うか、いつもより早いな?」
委員長が後ろにいる千歳と百に視線を投げる。
「あぁ、うん。中矢先輩にちょっと相談…みたいな」
「先輩のことでか?」
「うん、そう」
「素晴らしい粘着力だからな!!」
「褒め称えんのやめてくれる?」
「委員長、今のは減点」
「マジか。ちょ、藤棚、どうしたらプラスになる?」
「うーん…とりあえずシュークリームじゃね?」
「カスタードか? シャンティか? それとも別の?」
「蜜はカスタードが好き。抹茶があれば抹茶だけど、時期じゃないもんな」
抹茶好き。
イチゴとメロンは加工しないで果物で食べるのが一番おいしい(と俺は思ってる)からイチゴ味とメロン味のは嫌。
あと生クリームは苦手なの。食べれるけど、進んでは食べないかな。
「貢ぐならカスタードということだな。抹茶があれば抹茶」
委員長、それはメモ取るほどのことなの?
「では俺はカスタードシューを買いに行ってこよう」
「ちょっと百、委員長 本気にしちゃったじゃん」
「プラス査定になるんだからいいんじゃね?」
「そう?」
でもまぁ実際嬉しいからな。
気持ちがちょっと沈んじゃうから、甘いものは素直に嬉しい。
気が重いなんて言ってられないんだ。気持ちよく次に進むために必要なこと。
誰かのことじゃなくて、俺のことだから。
委員長はほんとにカスタードシューを買ってきてくれて、俺はありがたくそれをもらった。
委員長だけ点数稼いでずるい!なんてみんなに言われてたけど、委員長は自慢げに笑っていた。
甘いものだけじゃなくて、こういうクラスの雰囲気が気持ちをあげてくれる。
このクラスでよかったなぁ。って思うのと、来年クラス替えやだな、って気持ちもちょっとある。
百と千歳と離れたらやだな。でも茅ヶ崎とか委員長とも離れたら…淋しい…。
口には出さないけどね。
だって茅ヶ崎にそんなこと言ったら……何か、今はちょっと不安な気持ちになるんだもん…。
シュークリームを食べながらそっと放課後に思いを馳せていたら、茅ヶ崎が教室に入ってきた。
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