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第92話

出た。 「もぉ~今 僕の話してたでしょぉ~?」 「厳密に言うと茅ヶ崎の話じゃないよ」 「じゃあ何の話ぃ~?」 「んー…キスの話?」 間違ってはないよね。 「ふぅ~ん? 女王様したいのぉ~?」 「んーん。それはもういいの」 ふたりにしてもらったから。 「え~残念~」 「何で?」 「そりゃもちろん僕がしてあげたのにぃ~、ってことぉ」 「茅ヶ崎ってキス上手いの?」 「え、どうだろ~」 「腕の自由奪ってからしないの?」 俺が聞くと、茅ヶ崎は目をぱちぱちさせた。 「そんな甘い雰囲気じゃないからねぇ~。しないよぉ~?」 「あ、そうなんだ」 「うん~。乳首とかは舐めたりいじったりしてあげるけどぉ~」 「茅ヶ崎、その情報はいらない」 千歳ストップ入りました。 「じゃあどういう時にするの?」 「したい時だよねぇ~」 「だからその『したい時』がさぁ」 「今とかそうだよぉ?」 あ、茅ヶ崎の目が肉食獣のそれになってる。 「「ストップ」」 百が俺を後ろから抱き込み、千歳が俺の唇を手でガード。 そしてふたりして茅ヶ崎の額をぐいっと向こうに押しやった。 「騎士様のガード固いぃ~」 「鏡で自分の目を見てこい」 「え、ダメだったぁ~?」 「完全に動物の目ぇしてた」 「藤くん、動物はひどくなぁいぃ~?」 「野獣?」 「うん~動物でいいですぅ~」 茅ヶ崎…俺とキスしたいとか思うんだ。 「っていうかそんな話するなんて急にどうしたのぉ? キスしたいのぉ~? するよ?」 「それは大丈夫だから。…香月さんと話しようと思ってね、放課後会ったの。香月さん俺とえっちしたかったんだって」 「バカなのぉ~?」 ハッキリ言うなぁ、茅ヶ崎。 「唇がそそられるって言われて。エロいって言われて」 「そこは同意するけどぉ~、女王様の気持ちはえっちしたいとこまで盛り上がらなかったわけでしょぉ~? 女王様の気持ちをしっかり自分のとこに持ってこなきゃねぇ~」 同意はしてくれなくていいんだけど。 「じゃあ何? えっちしたいから『別れない』って言ってたってことぉ~?」 「まぁ…そうだね」 「女王様組み敷きたい気持ちは分かるけどぉ~」 「茅ヶ崎、今この瞬間から俺の半径2メートル以内に近寄らないで」 「残酷!!」 何でだよ。自分の身を守るためだよ。 「茅ヶ崎にキスされたら、それこそそれだけで済まなそうじゃん」 「…………」 「黙るのやめて」 不安になるわ。

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