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第96話
せっかく百と千歳のおかげで機嫌良くなったのに。
「ねぇ百、今日 部屋帰りたくないな…」
百にしなだれかかって甘える俺。
茅ヶ崎たちの方から、「ウゴッ」って何かを詰まらせたような声が聞こえた。
「っ、げほっ、ちょ…っ女王様甘えてるの可愛い…!」
「ごほごほっ、うぇっ、あんなん言われたら堪んないよねぇ~。普通なら勘違いするよぉ~」
「普通なら、とは…?」
「藤くんたちは慣れてるからぁ~。全然そういうお誘いとは思わないわけぇ~」
「なるほど…」
っていうか仲いいな、あのふたり。何でそんな急に仲良くなったの?
「じゃあ今日泊まる?」
百が俺の肩を抱いて、唇を耳へ寄せる。
これ絶対 後ろのふたりをからかってるね。ちょっとえっちな雰囲気出して遊んでるね。
「ん~、どうしよっかなぁ」
なので俺も甘えた声を出して、どうしよっかなぁ、なんて言いながら百の肩に頭を寄せた。
「いいじゃん。優しくするし」
「ほんと? じゃあ…百の部屋、行っちゃおっかな…」
「あぁぁえっちな会話してるぅぅう~そうじゃないって分かってるのにぃぃ~」
「頭が勝手にえっちに変換してしまう…!」
ふはは。苦しむがいいよ。
「蜜も百も、遊ぶのほどほどにしとけよ」
千歳がちょっと苦笑い。
「千歳も一緒に来るだろ?」
「そうだな…百に独り占めさせるのも妬けるからな」
「あぁぁ須賀谷くんずるいぃぃ~」
「嫉妬おいしい…!」
千歳も一緒に遊んでるじゃん。
「じゃあ今日は3人でしようね」
語尾にハートマークでも付きそうなくらい甘えた声で言う俺。
「女王様の声えっち…!」
「分かっててやるのずるくなぁいぃ~? 絶対えっちなことじゃないもん~。3人でゲームしようとかそういうことだよ絶対ぃ。なのにめちゃめちゃえっちに言うのずるぅいぃ~」
「ふたりとも頭の中ピンクなんじゃないの? やだぁ」
「僕たちめちゃめちゃ遊ばれてますよね!?」
「人の唇ばっか見るからお返しだよ」
「女王様 強かだねぇ~?」
「茅ヶ崎には負けると思うよ?」
「えぇ~?」
何が『えぇ~?』なの。強かじゃなければ人の腕の自由奪って遊んだりしないでしょ。
焦らして焦らしてぐちゃぐちゃにして楽しんだりしないでしょ。
俺そんなことしないもん。
清く正しく生きてるもん。
それはそうと、ほんとにゲームやりたい。
この前のまだ途中だったし。砂漠のダンジョン入りたいし。
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