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第97話
というわけで、各々お風呂を済ませて百の部屋へ集合。
散々RPGゲームに興じて、眠くなったら百のベッドに転がる。
「蜜、もう寝んの?」
「うん眠い~」
あーまぶた重い。
「百、千歳、だっこ」
「はいはい」
百が俺の背中側に体を滑り込ませ、背後から抱き抱える。
「百のベッド、シングルだよな…」
「すげー狭いよ」
「絶対落ちるな…」
そう言いながらも、千歳が前から抱えてくれる。うん。めちゃめちゃ狭い。
「蜜つぶれてねぇ?」
「息できるか?」
「ふふっ、できるー」
ちっちゃい頃 怖いテレビ観た後はこんな風に3人で固まって寝てたっけ。懐かしい。
「蜜、もうちょいこっち。したら千歳ちょっと詰めてもらっていいぞ」
ぐいっと百の方に引き寄せられる。空いた隙間に千歳が詰めて、むぎゅっとなる。
「百、背中痛くないか?」
「すげぇ壁だけど、そうじゃなきゃ蜜が俺らの上で寝ることになる」
「それはそれでいいかも?」
「そもそもシングルに男3人は無理がある…」
「まぁそーだな」
百が笑って俺の耳の裏にキスをする。
くすぐったい、って笑ったら、千歳も俺の額にキスをした。
俺はとろりとした心地よい眠気に誘われるように、そのまままぶたを落とした。
翌朝俺は、前から千歳に抱き込まれてベッドに転がっていた。
昨日と逆だな、って思いながら体を起こす。ベッドから抜け出して百を探していたら、部屋の主はソファに横になって眠っていた。
外はまだ少し暗いから、早朝なんだと思う。昨日早めに寝落ちたのもあってか、また少し寝ようって気にもならないな。
ソファのそばにしゃがんで、百の寝顔を見る。小さい頃から見慣れてるけど、美形は寝顔も美形だよね。
じっくり堪能した後は、千歳の寝顔を。千歳は寝顔だとちょっと幼く見えるな。男前を可愛いと思うことはそんなないけど(可愛いは俺の専売特許なので)、寝顔は可愛い。
触ったら起きちゃうかな。
眉間にそっと触れると、ぱちっと目が開いた。
俺はびっくりして固まってしまう。
「何やってんだ?」
「……つい」
何てタイミングで起きるの、千歳。
「起こした?」
「何となく布団出てったな、ってのは分かった」
「そっか…」
「寝込み襲おうって?」
「違うよ。寝顔はじっくり見たけど」
びっくりさせられたから眉間ぐりぐりする。
「まだ早いからもう少し寝てたらどうだ?」
「でも目ぇ覚めちゃったし…」
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