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第100話

彼氏…作るか。 でも…。告白してきてくれた人たちを思い浮かべるけど、すごく失礼だし贅沢だけど、ピン!ってくる人がいないの。 そもそも本来なら、元気が出るちゅーしてっておねだりするのも彼氏じゃないとね。 かといって、とりあえず付き合ってみるとかはしたくないんだよなぁ。 ちょびっと悩みながら自分の部屋に戻って、制服に着替えたらみんなで食堂へ。 茅ヶ崎と柴木さんはまだ来てなかったから、これ幸いとごはんを食べる。また唇じっと見られたりしたら嫌だからね! いつもの時間に寮を出て学校に向かうと、昇降口で柳木くんに会った。 「あ、女王様。須賀谷くんと藤棚くんも。おはようございます」 「おはよー、柳木くん」 「おはよ」 「おはよう」 柳木くんはひとりじゃなくて、友達と一緒だった。その友達めっちゃこっち見てくるけど。 「あ、そうだ。再来週の、俺の友達で衛宮(えいみや)って言うんですけど、一緒に行くのでよろしくお願いします」 柳木くんが隣の人を紹介しながらそう言った。 衛宮くん、ね。 「そうなんだ。よろしくね。楽しみだねー」 「ほんとですね! あれ、今日は茅ヶ崎一緒じゃないんですね」 「うん。茅ヶ崎は出る時間まちまちだから」 「へぇ~。まぁでも、寮近いしなぁ」 「遅刻することはそうないよね」 「ですよね」 ねぇ、衛宮くんの視線が痛い。気づかない振りしてるけど、視線が痛いよ。 「……何か、女子みてぇ」 「ちょっ、衛宮! やめなさい! 失礼だろ!」 ぼそっと呟いた衛宮くんに、柳木くんが怒った。 可愛いって言われることはあれど、女子みたいって言われるのは初めてだわ。いや、小さい頃はあったけど。可愛くて女の子みたいねぇ、って近所のおばちゃんに言われてた。 けど。 それって誉め言葉だったんだよね。今のは違う。何かちょっとケンカ売られた気分。 それが分かったから柳木くんは怒ったんだと思う。 「大丈夫だよ、柳木くん。ありがとうね」 まぁでもここは、寛大な心をもって接するべし。俺はにこりと微笑む。 「いや、今のは衛宮が悪いから…」 「気にしないことにするし、大丈夫」 めちゃめちゃ気にするけどな!! 「ほんとにすみません。…衛宮ってさ、見た目はカッコいいのに口開くとこんなだから、全然彼女とかできないんだよ…」 「彼女ができねーのは柳木も一緒だろ」 「うるさいなぁ」 ふーん? 「柳木くん優しいし一緒にいて楽しいからすごくいい彼氏になりそうなのに。女の子たち見る目ないね」

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