「そりゃあ挿れられるの気持ちいいし好きだけどぉ～」 「生々しい話はするなよ？」 千歳が先手を打った。 「はぁ～い。女王様には何かこう…う～ん…気持ちよくしたいなぁ～、っていうのがねぇ～」 絶対気持ちよくされるんだろうな、とは思うけど。 「…ちょっと怖いんだよなぁ」 「えぇ～？ 怖くないよぉ。安心安全の茅ヶ崎だよぉ～」 「嘘だよね？」 「うん～。さすがに安心安全は嘘ぉ」 素直。 「でも女王様になら気持ちいいことしかしないよぉ～？」 興味がないわけじゃない。そういうお年頃だし。 でも、茅ヶ崎に自分の全部を任せられるほどの強い信頼は、正直まだない。 「…そこまで茅ヶ崎のこと信用してないからね？」 「分かってるよぉ～」 ならいいけど。 顔の向きを変えて、安心安全の千歳と百を見る。 「騎士様たちはそういう気持ちにならないのぉ～？ 女王様の無防備な姿、一番よく見てると思うんだけどぉ」 「まぁ、完全に安心しきってるな」 「須賀谷くんのドヤ顔初めて見たぁ～」 「女王様の信頼裏切る気はねぇよ？」 「藤くんカッコいいねぇ～」 でしょ？ 「でもさぁ、女王様に彼氏にしたい～、って言われたらどうなのぉ～？」 「茅ヶ崎、それだと俺はものすごくワガママ…確かに俺はすごくワガママだけど、それでもふたりとも彼氏にしたいってのはものすごいワガママだよ？」 「うふふぅ～。僕『ふたりとも』とは一言も言ってないよぉ～？」 「うわ、やられた」 「女王様はぁ、騎士様たちはどっちも欠けたら嫌なんだねぇ～」 うわ、これすごい恥ずかしい。 千歳と百はどっちかじゃなくてどっちも大事、って思ってるの、幼い独占欲みたいなのバレたじゃん。 「ふ。蜜 照れてんの？」 「可愛いな」 「うるさい。可愛いのなんか当たり前だし」 百と千歳が可愛いものを見る目をして笑うから。俺は元々可愛いけど！ でも、何か…だって……恥ずかしいじゃん。 「騎士様たちにそれぞれ彼女とか彼氏できたらどうするのぉ～？」 「そしたら俺も彼氏作るし。別に淋しくないし」 「うふふぅ～。淋しいんだねぇ～。かぁわいいぃ～！！」 「淋しくない！」 あぁもう。 顔が熱いから、ぷいっとそっぽを向く。 千歳と百が笑って俺を抱き締めた。 「もしかして蜜、中学ん時ちょっと淋しい時期あった？」 「な・い！」 「俺たち同じくらいの時期に彼女いたな、そう言えば。悪かったな」 「別に何も言ってないし！ そういう…憶測で物言うのやめてよね」