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Beautiful light blue

委員長からもらった上質な女王様マントは、正直使う機会もなかったけどそれはそれで悪いので(お金かかってそうだし)、たまにくるまったりして使っていた。 肌触りはすごくいいし、ファーもただくすぐったいだけのものじゃないし、とにかく物はいい。すごくいい。 だけど、これを使ってるのをクラス以外の人に見られた時が困るよね。説明に。 それはどういうことかって言うと。 「…あんたさぁ、たまにすげー真っ赤な…何あれ、マント? 何であんなの持ってんの?」 こういうこと。 俺の目の前には、柳木くんの友達の………うわ、誰だっけ。興味ない人忘れちゃうのどうにかしなきゃだぞ俺。…なんとか宮くん…が、いる。 たまたまひとりでトイレ行って戻ってくる時に廊下で会って捕まってしまった。 「友達にもらったの」 「…あんなマントを友達に…?」 「もらっちゃいけないの?」 「そうじゃねぇけど…」 「じゃあいいじゃん」 教室戻ろ、と思って足を踏み出すと、またその人が口を開いた。 「あのさぁ」 「なに?」 「…柳木のこと、騙すつもりじゃねぇよな?」 「はぁ?」 急に変なことを言われて、思わず不機嫌な声が出てしまった。 「別にそっちが俺のことどう思っててもいいけど、俺と柳木くんは友達だから」 「でも柳木は対等じゃねぇじゃん」 「は?」 「敬語遣ってんじゃん」 「強要してるとでも言いたいの? そもそもよく知らない相手によくそういう憶測だけで物言えるよね。俺は友達だと思ってるから友達として扱ってる。対等じゃないとかそういうのはそっちが勝手に思ってるだけでしょ? それとも柳木くんにそう聞いたの?」 「………」 「そっちから吹っ掛けといて黙るんだ」 「っ、いや、そ、」 「別にいいけど。じゃあね」 何っだこいつ!! 遊びに行くの今週末に迫ってるのに、大丈夫か、俺。 「ちょ、っと待て!」 「なに。触んないでくれる?」 掴まれた手を振り払う。 不機嫌全開でその人を見れば、ちょっとばつの悪そうな顔をしていた。 「怒るなよ」 「突然言いがかりつけられて? いきなり手も掴まれて? 怒るなって?」 「いや…それは俺が悪かった」 「当たり前でしょ。他に誰が悪いの」 っていうか早く教室戻りたいんだけど。 「悪かったって。あいつ、中学ん時に変な女に騙されてるから…心配んなって」 「そーゆうのって、本人いないとこで勝手に話していいの? そもそも俺 女の子じゃない」 「そん、いや、だから、俺はただ心配で」

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