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第107話
「心配するのは勝手だけど、こっちが悪いとか決めつけて話するのはどーかと思うよ」
「……すまん」
もう教室戻るから、とだけ言って、俺はさっさと背中を向けた。
柳木くんに前なにがあったとか、そういうのは柳木くんが話してくれたら聞くことであって、いくら仲がよくても勝手に話しちゃうのはダメでしょ。
今のは、こんなことあったよ、って…柳木くんに話した方がいいのかな。話したら話したで、厄介なことになるかな。
そんなことを考えていたら、俺は昼休みに柳木くんに呼び出されてしまった。
正確には、柳木くんから百に丁寧なLINEが入って、どうか会ってもらえませんかというお伺いだったけど。
「柳木くん、お待たせ」
別に断る理由もないし、お菓子買いに行くついでだし。百と千歳と一緒に、指定された場所へ顔を出す。
「あっ、わざわざありがとうございます!」
そこには柳木くんと、例のなんとか宮くんがいた。
「お菓子買いに行こうと思ってたから大丈夫だよ。どうしたの?」
「あの、その…俺、あの、衛宮と話してるの、実は聞こえてて…」
「あー、休み時間の?」
そうだ、衛宮くんだ。そういう名前だった。
俺がそう思っていたら、柳木くんがビュッと風を切る勢いで頭を下げた。
「衛宮が、本当にすみませんでした!」
「待って。柳木くんに謝ってもらうようなことは何もないよ」
「いや、でも衛宮の失礼さと言ったらもう…!」
「それも柳木くんのこと心配してたから、でしょ?」
「でも…」
俺ってばとても聞き分けのいい子でいるけど、衛宮くんに対してはちょっと嫌な感じしかないからね。
でも柳木くんは柳木くんだし。
「週末一緒に出かけるんだし、あんまり嫌な感じでいたくないじゃん?」
「の割に俺にはツンツンした態度だったじゃん?」
こいつ。人が穏便に済まそうとしてるのに。
「あんた呼ばわりされた上に騙してるって疑われて何で穏やかに優しくできると思うわけ?」
「その節はどうもすみませんでした」
「ほんとにね」
百がちょっと笑った気配がした。
「じゃあ…相瀬って呼んでいいの?」
「別にいいけど?」
相瀬って呼ばれるの久しぶりすぎて!
「柳木は『女王様』って呼んでんじゃん」
「そこはもう何も言わないことにしてるの」
「?? まぁいいけど…」
大体みんな『女王様』だし、蜜って呼ぶのは千歳と百だけだし。
「っていうか、俺の名前知ってたんだ」
「そりゃ知ってるだろ。有名だし、3人とも」
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