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第113話
衛宮くんが誰を羨ましがるんだろ。
電車に揺られること40分。ようやく最寄り駅へ到着。
駅からしろくまランドへはバスも出てるけど、たいした距離じゃないから歩いて向かう。
「もー茅ヶ崎 電車の中でぐっすりだったじゃん」
「昨日寝るの遅くてぇ~」
「何でかは聞かないからね」
「聞いてもいいのにぃ~」
俺は聞かないぞ。
あ、そうだ。
「ねー柳木くん、俺 柳木くんの連絡先知らない。教えて」
「えぇっ!?」
そんなにびっくりすること?
目を見開いて口も開いて、とにかく全身で驚きを表現された。
「…嫌?」
「ぜん、そん、全っ然! そんなことないですけども!」
今度は全身で否定された。首も振るし手も振る。
「えっ、俺、そんな…えっ、俺ぇ!?」
もう語尾が茅ヶ崎みたいになってるよ。
「そんなに驚く?」
「ひぇー…だってそんな俺なんてそんな…」
「友達だし」
「あっ、はい。そうですねっ」
柳木くんめちゃめちゃ動揺してる…。
「嫌なら嫌って言っていいからね?」
「嫌だなんてとんでもない!!」
嫌ではないらしい。柳木くんとLINEを交換する。ついでに僕ともしよぉ~、って茅ヶ崎とも交換してた。
「…友達とか言ってる割に知らなかったんだな」
「こら、衛宮!」
「俺と柳木くんのつきあい方にいちいち口出してこないで」
あ、今日は楽しくすごそうと思ってたのに。
ついツンケンしてしまう。でも俺だけが悪いんじゃなくない?
「連絡先聞くのって最初の方じゃねーの」
「もうこの人やだ」
余計なことを言うなと柳木くんが衛宮くんを怒って、俺は千歳と百に髪や頬を撫でられて宥められる。
茅ヶ崎はそれを見て笑っていた。
「衛宮くんさぁ~、女王様にすごぉく突っかかるねぇ~うふふ」
ってか何でそんなに楽しそうなの?
「べっ、別にそんなんじゃねーけど…」
「衛宮、ツンデレやめてマジで…」
「柳木はその顔やめろ。この世の終わりみたいな顔すんじゃねぇ」
「女王様のツンデレは可愛いの最上級だけど、衛宮のツンデレは何か…地獄」
「地獄ってどういう意味だコラ」
地獄。
「ほら、見えてきたぞ」
千歳が苦笑いで声をかける。
向こうの方に、しろくまの可愛い大きなゲートが見えてきていた。
「わぁ~! 可愛いねぇ~! 女王様あとで写真撮ろ~」
「うん!」
ゲート可愛い! しろくまが、がおーってやってるポーズのゲート。ここから1枚撮っとこ。
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