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第114話
ゲートを潜る前に、みんなで1枚パシャリ。
それから、事前にコンビニで発券しておいたチケットで中に入る。
最近開園したばかりなのもあって、中はすごい人だった。
「今日はあんまり回れそうにないかもね」
「すごいもんねぇ~、人」
「蜜、はぐれるなよ?」
「うん」
絶対 千歳か百のそばにいる。
「お昼の時間もずらした方が良さそうだねぇ~」
「ほんとだな。これ絶対混むよなぁ」
柳木くんが周りを見て頷く。
「まぁでも、せっかくだから楽しもうねぇ~」
そう言って、茅ヶ崎はマップに視線を落とした。
そうだよね。せっかく来たんだから楽しまなきゃ。
どれから行く?なんて話しながら、人ごみを縫って歩く。俺は千歳と百とはぐれないように、手を握ったり服の裾をつまんだり。
「ここのお化け屋敷ってどんなんだろうねぇ~」
「キャラクター可愛いから、お化け屋敷って想像つかない…」
茅ヶ崎と柳木くんがそんな話をしている。
「お化け屋敷行ってみるぅ~?」
「どんなか興味はあるよな!」
「女王様、お化け屋敷平気ぃ~?」
「平気だけど平気じゃなくても百と千歳がいるから大丈夫」
「じゃあ大丈夫だねぇ~」
「衛宮も平気だったよな?」
「まぁな」
何か衛宮くんだけそんな楽しそうじゃない。あんまり気乗りしなかった? でもそしたら断るだろうし…。まぁ、いいんだけど。
お化け屋敷は他のアトラクションより比較的すいていて、そんなに待たずに順番が来た。
入り口はしろくまの形のドアになっててすごく可愛い。これをお化け屋敷とは思わないよな。
めちゃめちゃ可愛いじゃん、なんて言いながらドアを開けた柳木くんの向こうは、ぽっかりと闇が口を開けていた。
「………マジ?」
「落差ありすぎぃ~」
ちょっと引いたような柳木くんの声と対照的な、カラカラと楽しそうな茅ヶ崎の声。
ちら、と衛宮くんを見ると……表情は無だった。
きっと予想外だったんだな。俺もだよ。
「すげー真っ暗」
「灯りとかもないんだな」
百は茅ヶ崎みたいに楽しそうだし、千歳は何でか感心したような口調だし。ほんと頼もしいんだから。
「とりあえず壁づたいに行けば何とかなりそうだよな」
百がぺたりと壁に触れる。壁から何か出てきたら怖いんですけど。俺は百の背中にぴたりとくっついた。
その後ろに千歳、で、柳木くん、衛宮くんと続く。茅ヶ崎は一番後ろで悪い顔してた。
…絶対なんか企んでる顔だぞ。
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