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第118話
「お腹いっぱいんなってきちゃった。千歳、ポテト食べるの手伝って」
「ナゲットも残ってるぞ」
「百ー、ナゲット食べてー」
「あ」
口を開けてくれたので、ナゲットを入れる。
「結構ボリュームあったねぇ~」
そう言う茅ヶ崎の前にあるお皿は、きれいに食べ尽くされていた。
ポテトおいしいし好きだけど、量が多いな。
でもみんなぺろっと食べてるから、俺が量食べれないだけなんだよね。もうちょっと食べれるようになりたいな。
「蜜、あーん」
「あーん」
百にポテトを食べさせてもらう俺を、なぜか茅ヶ崎が写真に撮っていた。なぜ。
食べ終わってひと息ついたところで移動開始。
午後は観覧車から。列になってるし、並んでる間にお腹はこなれそう。
「あの観覧車のボックスがしろくまの形なの可愛くない?」
「可愛いぃ~」
「透明なのもあるって書いてある」
「あ、ほんとだぁ~。あそこにあるよぉ~」
「ほんとだ」
待ってる間の他愛ない会話も、何となく楽しい。
そう言えば衛宮くん、最初あんまり楽しそうじゃなかったけど…今はどうかな。何となく衛宮くんの方を見ると、柳木くんとマップを見て何やら話をしていた。うん。楽しんでるっぽい。
良かった。来なきゃよかった、とかだったら嫌だもんね。お互い。
「女王様、気になるのぉ?」
茅ヶ崎が俺の視線を辿る。
「ううん。ただ、最初あんまり楽しそうじゃなかったから」
「ふぅ~ん?」
「ひとり蚊帳の外とか嫌じゃん」
「まぁねぇ~」
「でも楽しんでるみたいで良かった」
前を向けば、もうすぐ順番が回ってきそう。
「観覧車乗ったらジェットコースター行く?」
「女王様 苦手なのに乗りたいんだねぇ~」
「1回だけ」
ところで変わらず女王様って呼ばれてるけど、もう諦めたから。学校内と外で呼び方変えるなんてなかなか大変だもんね。諦めたよ。
そのうち俺たちの番が来て、みんなで観覧車に乗り込んだ。
上へあがるにつれてどんどん広がっていく景色に胸が踊る。
「あ、あっちに富士山見える」
「へぇー、こんなとこからも見えるんですね、富士山」
「晴れてて良かったね。すごいきれい」
「本当に」
富士山も記念に撮っておこう。と思ったら柳木くんも同じことをしていて、思わずふたりで笑ってしまった。
「柳木くん女王様と仲良くなったねぇ~。羨ましいぃ~?」
後半はなぜか衛宮くんへ。衛宮くんは、すごく変な表情を浮かべた。どう変かって……うまく言えないけど、変。
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