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第120話
茅ヶ崎たちは顔を見合わせた。
「どこか行きたいとこあるぅ~?」
「えぇっと…」
柳木くんがマップを広げる。
「うーん…行くとしたら、この水のアトラクションだけど…混んでたし」
「そしたらこの近くのバイキング乗るぅ~?」
「ジェットコースターの後にバイキングってどんな選択だよ」
「じゃあミラクルハウスぅ~」
「これもぐるぐる回るやつじゃね!?」
茅ヶ崎…。そんなにスリルを求めてるのかな。
「あ、これは? 水の上を巨大ボールの中に入って歩くやつ」
「それならまだ…」
「蜜、アセロラソーダでいいか?」
あ、百が帰ってきた。
「うん。ありがと、百」
千歳が缶を開けてくれて、それを受け取って口をつける。いつも炭酸は飲まないんだけど、こういう時だけは炭酸が飲みたくなる。百はそれを分かってるから、俺が好きなやつを買ってきてくれる。
炭酸がぱちぱち弾けながら喉を通っていく。しゅわしゅわ気持ちいい。
「はぁー」
大きく息を吐いた俺に、千歳が笑った。
「百たちも遊んできて。俺ここにいるし」
「ひとりになったら変なのに声かけられるぞ」
「それはやだけど」
でもなぁ。せっかく遊びに来たんだし…。俺に付き合わせるのはなぁ…。
「まぁでも、茅ヶ崎たちは行ってきたらどうだ?」
「俺らは蜜が動けるようになったらショップ行って買い物しててもいいしな」
「あ。せっかくだから何か買ってきたいねぇ~」
「そっか。何ヵ所かあったし、全部回ってもいいよね、こういうのは」
柳木くんがまたマップに視線を落とす。
衛宮くんはそれでいいのかな。でも…。
「どのみち俺、すぐには回復しないし。遊んできてよ」
「それなら行こっかぁ~、ふたりともぉ」
茅ヶ崎に誘われて、柳木くんと衛宮くんの3人が近くのアトラクションへ向かう。
それを見送りながら、またソーダを一口。半分も飲まないうちに俺はもう飲めなくなっているので、残りをふたりが飲んでくれる。
炭酸あんまり得意じゃなくて、でも気持ち悪くなった時だけちょっと飲みたいの。
「何かさーあ、小学校の時の修学旅行思い出すよね」
「あの時も蜜ジェットコースター乗って気持ち悪くなってたな、そう言えば」
「班の女の子たちが百と千歳と観覧車乗りたがってたのに俺についてたから」
「独り占めしないでよ!って怒られてたな」
「それをバッチリふたりに見られてたから可哀想なくらい真っ青になってたよね」
「可哀想だった?」
「ううん。自業自得って思ってたけど」
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