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第124話

こぼれそうになったため息を、俺はそっと呑み込む。 駅に着いて、電車に揺られてしばらくすれば、先に柳木くんと衛宮くんの降りる駅に。 「じゃあ俺たちはここで。すっごく楽しかったです! また明後日 学校で!」 「じゃあな」 閉じたドアの向こうで手を振る2人に同じように、バイバイ、と手を振ってまた電車は動き出す。 「……女王様さぁ~」 何となくぼんやりと車窓を眺めていた俺を茅ヶ崎が呼んだ。目を向ければ、何だかニヤニヤと…。 「衛宮くんと何かあったでしょぉ~」 「え」 「うふふ~告白でもされちゃったぁ~?」 「なん、」 あぶなっ! 『何で分かるの?』って聞きそうになった! 「衛宮くん分かりやすいもん~。女王様のこと好きなんだなぁ~うふふ~ってすぐ分かったよぉ~」 え、嘘。 千歳と百に目を向けると、ふたりもちょっと笑って頷いた。 何でみんなそんなに察しがいいの? 「もぉ~分かりやすく女王様にだけつんつんしてぇ~、目線はしっかり女王様だけでぇ~、柳木くんとか騎士様ふたりにちょ~っとヤキモチ妬いたりとかぁ~。可愛かったぁ~」 …俺 全然気づいてなかったんだけど…俺が鈍いの? 「それで、どうするのぉ~?」 「どうって…まだどんな人かもよく知らないし…」 「ふぅ~ん? 嫌ではなかったんだぁ~?」 「嫌っていうか…まぁ…。 それに、そういうのも分かんないくらい知らないことの方が多すぎて…」 「でもぉ、タイプじゃなかったら即断らなぁいぃ~?」 「…それは、そうだけど…」 「っていうことは衛宮くんにはまだ望みはあるわけだねぇ~」 望み…。 まぁ、びっくりしたけど…、この人はない!とは思わなかったのは事実だしな…。 「騎士様たちはどうなのぉ~?」 茅ヶ崎が百と千歳をふりかえる。 ふたりは顔を見合わせた。 「俺たちは基本、蜜がいいならいい、ってスタイルだからな。よっぽど変なやつでなければ」 「俺らが個人的に気に入らないとかは二の次だし?」 「あ~藤くん笹山先輩 嫌いだったもんねぇ~」 茅ヶ崎が、うんうんと頷く。 …百の嗅覚というか、そういうのって結構当たるんだよなぁ。 衛宮くんは百から見てどうなんだろう…。 決断を百に任せたらいけないけど、気にはなるよね。 「じゃあさぁ、衛宮くんは藤くん的にどうなのぉ~?」 茅ヶ崎、ナイス! 「どう、って言われてもなぁ。まぁ、まだ嫌いではない」 「微妙な判定だねぇ~」 嫌いじゃない、か…。

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