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第125話
決めるのは俺なんだよね。
分かってるけど…失敗してるから、あんまり自分の判断に自信ない…。
「でも女王様さぁ~、結婚するわけじゃないんだから、ちょっと気楽ぅ~に考えてもいいんじゃないぃ~?」
「気楽…」
「付き合ってみてぇ、合わなかったら別れればいいじゃん~?」
「うーん…」
そういうのってアリなのかな…。衛宮くんはどう思うんだろう。
「とりあえず付き合うとか、あんまりしたくないんだけど…」
なんて話しているうちに、電車は駅に。
電車を降りて、改札を抜ける。門限にはまだ時間があるから、のんびりと寮までの道を歩いた。
「女王様はどうしてとりあえず付き合うってしたくないのぉ~?」
「どうして…んー、とりあえずって何か軽い感じするじゃん。俺と付き合おうよ、とか軽い感じの告白だったらそれでもいいかも知れないけど、そういう軽い感じのじゃなかったから…。そしたら、ちゃんと向き合わないと失礼じゃない?」
「そっかぁ~。なるほどねぇ~」
「けど…確かに付き合ってみないと分かんないことってあるよね」
気持ちの温度差とか。相手の性格とか。大事なことって、ある程度付き合わないと分かんないよね。
「こうさぁ…失敗したくないなー、って思っちゃうんだろうね、どこかで」
「笹山先輩のこととかぁ~?」
「うんまぁ…それも含め」
「ま、いずれにせよ蜜が好きなら付き合えばいいし、気が乗らないなら断ればいい」
千歳はそう言って、俺の髪を優しく撫でた。
「うん…」
「付き合う前に友達として付き合うのもアリだと俺は思うぞ」
「友達として…」
「どんな人かちゃんと知りたい、って素直に話してみればいい。それで怒るようなやつだったらそれまでだし」
「そっか…」
友達から、とかないわー。って人だったらもうそこでムリだもんね。
それもひとつかぁ。
ぐちゃぐちゃ考えるより、その方がいいかな。
それに、どうせダメになる関係なら早い段階でダメになってた方がお互い いい気もするし。
ある程度関係できてからだと気まずいもん。
「あとはあれだよね。俺すごいワガママだから」
「好きなやつのワガママも聞けないなら捨てて来ればいいんじゃん?」
「藤くん、それ身も蓋もない言い方ぁ~」
茅ヶ崎がけらけら笑った。
「…ワガママ聞いてくれなくてもいいや、って思える相手ってどこかにいるのかなぁ…」
「え~ワガママ言わない女王様なんて女王様じゃなくなぁいぃ~?」
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