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第129話
「ここでしつこく食い下がって嫌われたくねーし」
「そんなこと…まぁないとは言い切れないよね」
「だろ?」
でも良かった。衛宮くんが分かってくれる人で。
もしかしたら、我慢してくれてるのかも知れないけど。
「けどまぁ、それなら今度はふたりでどこか行きたいんだけど」
衛宮くん…結構 積極的なんだね。
「いいけど…どこか行きたいとこあるの?」
しろくまランドでちょっとお金遣っちゃったから、あんまりパーッとは遊べないけど…。
そんなことを思いながら衛宮くんに尋ねると、衛宮くんは首を振った。
「そうじゃなくて、ただ相瀬を独り占めしたいだけ」
不意打ちに、胸がドキッとした。
ちょっとずるい。
「安くないんだからね」
そんで、出たセリフがこれってどうなの、俺。
「絶対 楽しませるから。それならいいだろ?」
「すごい自信。けど、そこまで言うなら期待するよ?」
「おう」
衛宮くんがぱっと笑う。
明るい笑顔は割と…好きかも…?
「出かけたばっかだから、あんまりお金ないけど…」
「それは俺も一緒。でも、金かけなくても楽しいことはあるしな」
「それもそうだね」
予定いつ空いてる?なんて話をして、ふと衛宮くんに聞いてみた。
「そう言えば、柳木くんには話したの?」
「え? 相瀬に告白したこと?」
「うん」
「いや…どうなるか分かんなかったし」
「そっか」
まぁ、そりゃそうか。
前々から相談してたとかならまだしも、柳木くんには話してなかったんだもんな。
「言っといた方がいい?」
「ううん。そういうことじゃなくて」
「けどまぁ…言った方がいいのかな…」
衛宮くんが教室の方を見る。そこに柳木くんが見えるわけじゃないけど。
「相瀬は友達って言ってるけど、柳木はファンって言った方がいいような感覚でいると思うんだよな。相瀬のこと本気で心配したり本気で可愛いと思ってたり」
「本気で可愛いと思うのなんて当然でしょ? 本気で可愛いでしょ? 俺だよ?」
「そのセリフは相瀬じゃなきゃ言えないし、それ言える相瀬が好きだな、って思う」
ちょっと今のはドキッとした。ずるい。
「当たり前」
けどそれを出さない俺は……可愛くないのかも…? ちょっと照れて見せた方が可愛いよね。気を付けよ。
「ま、付き合えたらそん時言うし、振られたら実は告白してた、って言えばいいか」
俺はただ何となく、衛宮くんの横顔を見ていた。
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