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第138話

ふたりは千歳の部屋でゲームをするつもりで、お菓子を買いに2階の売店へ行く途中だったらしい。俺を部屋まで送ってくれて、また売店へと下りて行った。 ちょっと悪いことをしてしまった…。助かったけど。 俺もゲームしに行きたい。でも、彼氏がいるからそれは我慢。ふたりもそれを分かってるから俺を誘わなかった。 夕飯は一緒に食べるけど、その後は別。 ちょっぴり淋しさもある。 まぁでも、変態のせいで精神的に疲れたし、今日はゆっくりお風呂入って寝よう。 こういう時バラ風呂が恋しいなー。リラックスできるのに。ローズウォーターだけでも買っておこうかなぁ…。 そんなことを思いつつお風呂に入って、ベッドに転がる。そのままゴロゴロしているうちに、俺はどうやら寝てしまったようだった。 翌朝。 「相瀬」 「あ、おはよ。衛宮くん」 校門を抜けたところで衛宮くんに遭遇。一緒に来ていた百と千歳は、先に行くと言って昇降口へと消えて行った。 「…いつも思うけど、毎朝一緒なんだな」 「だって寮だし。クラス一緒だから行き先も一緒だし。それに百と千歳といると、絡まれたりしないもん」 「ふーん」 あ、この感じは妬いてるかも? 「でも付き合ってるのは俺だけどな」 「そうだねぇ」 やっぱり妬いてた。うーん。こういうところは可愛い。 きゅん、ときたら本物なんだろうな。 そう言えば、最近 柳木くんに会ってないなぁ。柳木くん一緒じゃないんだな。 「相瀬、今誰のこと考えてた?」 え、なにこの人。何で変に鋭いの? 「誰だと思う?」 横目でちらっと見て、にこっと微笑む俺。 やだこれ絶対 可愛い。 衛宮くんの目尻が赤く染まる。 分かるよ。俺すごーく可愛いもんね。 「ズルくね?」 「ズルい俺が好きなんでしょ?」 「好きだから早く相瀬も好きになってくれねーかな」 手が俺のに触れる。その熱が、ひどく熱く感じて。 きっと俺を見る目も同じくらいの熱量を持っている。 「…育ててるから、待って」 「何が足りねーの?」 「…分かんないよ。分かんないけど、キスとかの前に、衛宮くんのことちゃんと知りたいし、何か…こう、体をくっつけるより心をくっつけたい、って言うか…そういうのが先に欲しいの」 「女王様の割にピュアなのな」 「そのギャップが男心をくすぐるんです」 「自覚済みかよ…」

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